不動産テック

不動産テック(Real Estate Tech)のポテンシャル、日本の不動産業にも変化が?


最近は不動産テック(Real Estate Tech)という言葉を耳にする機会が増えています。金融業界がフィンテック(FinTech)で変わりつつあるのと同様に、賃貸、不動産購入、不動産経営など、アナログが課題だった不動産市場全体が、不動産テック(Real Estate Tech)によって大きく変化しようとしています。そこで世界の不動産テック(Real Estate Tech)と日本のポテンシャルについて考えてみましょう。

従来の日本の不動産業界と不動産テック

不動産テック(Real Estate Tech)とは、ビッグデータやIoT、AI(人工知能)を始めとした、情報通信技術を活用した不動産サービスを指します。これは、テクノロジーの力によって、従来のビジネス方法や商習慣を打ち破りイノベーションを起こそうという取り組みで、インターネットの力を使って、不動産取引などの利便性を高めていこうというものです。

日本の不動産業界は紙や電話、ファックス、そして、実地見学など対面の打ち合わせを重視する傾向があり、テクノロジーに対して保守的でした。また、不動産情報のデータベースであるレインズは会員限定のシステムであり、一般消費者には閲覧できないなど閉鎖性もあるといわれています。不動産テック(Real Estate Tech)は、そうした業界構造を大きく変える可能性を秘めているのです。

不動産テックの世界的な盛り上がり

日本より不動産テック(Real Estate Tech)が進んでいる海外での状況について説明すると、先進国のアメリカでは情報の透明性、スマートフォンアプリ、シェアリングサービスの3点が大きなテーマとなり、不動産テック化が進んでいると言われています。

たとえば、オンラインやクラウド化することにより誰でもアクセス出来るようにして情報の透明化を進め、これまで不動産業者等の特定の人しかアプローチすることができなかった情報を一般開放し、情報の透明化を促しています。さらには、スマートフォンアプリによって不動産の情報を手軽に収集し、シェアできるので、さまざまな場面で利便性が高まっているといえるでしょう。

その一例として、アメリカのMLS(Multiple Listing Service)の物件情報システムが挙げられます。MLSは、地域の不動産情報の共有などのサービス提供する会員制組織です。物件情報システムには、価格や間取りなどといった基本情報だけでなく、登記履歴や税金履歴、売買履歴、洪水マップや公図なども確認できるようになっています。消費者が直接この物件情報システムにアクセスすることはできませんが、不動産エージェント経由で重要な情報を入手可能です。こうした情報によって、不動産取引の透明性が担保されています。

世界最大の不動産見本市として知られるMIPIM(不動産プロフェッショナル国際マーケット会議)でも、ビッグデータや3Dマッピング、スマートモビリティなどのキーワードが2017年度版のプログラムに含まれています。

また、スタートアップの資金調達動向や業界動向についてのDBサービスを提供するCB Insightsは、不動産テックのスタートアップが約26.6億ドル(約3,010億円)を2016年に調達したと発表しています。約2.2億ドル(約249億円)だった2012年と比べて、たった4年で12倍にも増えています。これらを見ると、不動産テックは、今後も期待出来る分野のひとつだと考えられます。

海外の不動産テック企業の事例

海外の不動産テック(Real Estate Tech)企業にはどのような企業があるのでしょうか。いくつかの事例を紹介します。

・Trulia

Truliaはアメリカの不動産情報サイトです。不動産情報サイト自体は珍しくありませんが、Truliaの特徴は物件周辺の地域情報が事細かに掲載されている点です。物件自体の価格や価格推移などはもちろん、周辺地域の公共施設や教育機関に関する情報、居住者の平均年齢層、果ては犯罪発生率などの情報を参考にすることができます。誰でも、無料で情報にアクセス可能です。

・HomeLight

HomeLightは2012年創立です。物件の売り手や買い手に対して、膨大な売買データを基に最適なエージェントをマッチングするサービスを提供しています。エージェントというのは、個人的なツテや口コミ経由で紹介されることが多く、消費者はエージェントの質を知ることもできずに契約していました。HomeLightの持つデータベースには、200万人のエージェントと2,900万もの取引データが格納されており、これを基に最適なエージェントを紹介できるようになっています。

・Rentberry

Rentberryは賃貸物件サービスを提供しています。貸主や借り手の行う書類作成や提出、電子契約、オンラインでの家賃支払い、家賃の交渉などをRentberryで行うことができます。賃貸物件のオークションサービスもあります。貸主にとっては、物件の管理にかかる手間を大きく減らすのにつながりますし、借り手も借りる手間を省き家賃の交渉やメンテナンス作業の依頼などが簡単にできます。

・Amazon

Amazonは2017年10月に、日本でもスマートスピーカーであるAmazon Echoの発売が開始されました。Amazonは、このEchoに内蔵されたAIアシスタント「Alexa」の技術を展開するためのAlexaファンドを立ち上げ、特に住居に関連した事業を手がけるスタートアップへ出資しています。その結果、Alexaがホームセキュリティ、ペットのエサやり、キッチンなどさまざまな動きにタッチできる状況を作り出そうとしています。

・Zillow

Zillowは米国で一番大きな不動産検索サイトです。Zillowは2014年にTruliaを買収しています。Truliaと同じく、物件の価格推移や売買履歴、間取りや内装だけでなく、周辺地域の地価変動なども見られます。2017年11月末現在で、アメリカの1億1,000万以上の家がデータベースに登録されています。リフォームした結果が即座に価格に反映されるなど、アップデートの早さにも定評があります。

日本における不動産テックのポテンシャル

日本でも、不動産テック(Real Estate Tech)が徐々に浸透しています。不動産テック事業を行っているリマールエステート社が2017年8月に発表した不動産テックのカオスマップを発表によると、従来の物件情報紹介のみならず、VRやIoTの活用、マッチングサービス、融資サービスから業務支援に至るまで、BtoC・BtoBの双方において不動産テックと呼べる事業が展開されていると記されています。そこには昔からある会社だけではなく、新興ベンチャー企業も名を連ねており、不動産における悩みを解決すべく、活躍している様子がうかがえます。

日本では、欧米諸国とは異なり新築住宅の需要が高く、中古住宅の流通シェアが小さいという事情がありました。政府によると、欧米諸国が7~9割であるのに対し、日本では約14.7%(2013年)となっています。しかし、政府は住宅需要の増加や空き家対策などの観点から、中古住宅市場を2020年までに20兆円まで拡大させる目標を立てています。こうした中古住宅の流通増の見込みを背景として、ビッグデータを基にしたマッチングサービス、市場価格の査定サービスなどの透明化の進展が期待されることでしょう。

不動産の売買や賃貸に際して、テクノロジーが導入されることで作業が効率化する可能性があります。派手な新技術を用いなくても、メールやメッセージアプリなどを用いるだけで消費者の訪問の機会を減らすことができ、コミュニケーション時間の減少につながります。すでに、顧客とのやりとりをLINEやチャットボットを使って行う会社も出てきています。

2017年10月からはIT重説(インターネットを利用して、不動産の売買や賃貸借の契約時の重要事項の説明を行うこと。オンラインで説明した場合は記録を残すこととなっている)の導入が開始されました。まずは、賃貸借から導入が進められるようですが、不動産屋に行く時間や交通費などの費用が浮くだけではなく、仕事の都合でなかなか不動産屋に行けない場合にもオンラインでやりとりができるので、差し迫った引っ越しなどの際には効果を発揮するかもしれません。

また、ドローンやVRなどによって物件を見られるようになれば、物件の遠方に住む人でも気軽に実際の住宅の様子をつぶさに見学できるようになります。もちろん、物件のマッチングサービスを利用することで、よりニーズに合った住宅を探しやすくなるでしょう。物件のマッチングが早くなれば、不動産大家も空室率を防ぐ工夫をすることができるため、テクノロジーの力で不動産投資もより便利なものになるかもしれません。

これ以外にも、クラウドファンディングで不動産に投資を行うサービスも多くなってきました。不動産クラウドファンディングを利用して、空き家を新しく蘇らせるプロジェクトや、空き家をオシャレなアパートやマンションなどにリノベーションして投資を募るなど不動産経営も不動産テック(Real Estate Tech)でそのあり方が変わるかもしれません。

不動産テックのポテンシャルに期待

日本の不動産テック(Real Estate Tech)はまだ始まったばかりです。これまで、テクノロジーに保守的な業界だったからこそ、不動産テック(Real Estate Tech)にはポテンシャルがあり、注目できる業界だといえるでしょう。いつかは家にいながら不動産を購入したり、売却したりすることができる日もやってくるでしょう。不動産テック(Real Estate Tech)が進む未来は、テクノロジーの力でいい生活ができる社会が存在するかもしれません。

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