中国の若者がスコアリングで高得点を狙う理由とは?


婚活、就活でも信用スコアが活用され始めた中国、その理由とは

中国では私たちが想像している以上に信用の可視化が進んでいます。IT企業アリババの決済サービス「アリペイ」が提供する「芝麻信用」の信用スコアリングはその代表ともいえます。信用スコアが高ければさまざまなサービスで優遇されますが、それだけではなく、婚活や就活などにも有利に働くため、クレジットヒストリーに傷がつかないように気をつけ、信用スコアを下げない行動を心がける人が増えています。

中国政府主導で加速する信用データの活用

中国では以前から政府主導で社会信用システムの構築を進めています。中国国務院(内閣に相当)は2016年12月に「個人信用体系建設の指導に関する意見」を発表しました。過去の信用データにもとづき、航空機、高速鉄道などの利用に際し問題行動を起こした乗客700万に対してチケットを購入できないようにする措置を取っています。

そもそも、中国は社会主義体制で、国家が国民の情報を一元管理してきた歴史があります。プライバシーの観念も欧米ほどは強くありません。国民からの反発もさほどなく、信用スコアリングの軸となる信用データを活用しやすい環境にあるのかもしれません。

信用スコアが高いと婚活、就活、貸し出しサービスで優遇される

前述した「芝麻信用」では、信用スコアリングの算出方法は明示されていません。しかし、以下のような項目を参考にスコア(350~950点)が算出されているようです。

・ クレジットカードの返済履歴
・ アリババの運営するSNS上の交流関係
・ アリババでの支払い履歴
・ 車、不動産の保有状況
・ 学歴や職歴

9,000万人以上のユーザー登録数を持つ婚活サイト「百合網」は芝麻信用の信用スコアを活用しています。こちらでは、プロフィール欄に信用スコアが表示されるようになっており、婚活相手が信用できる人物なのかどうかを確認できます。とりわけ、女性はこの信用スコアを結婚相手選びのひとつの指標として重視しているようです。

男性にとっては信用スコアが低いと婚活も困難になる。そんな状況が中国で現実に起きています。裏を返せば、信用スコアが高いと婚活を有利に進めることができるともいえます。また、就活にも同様の状況が起きています。多くの企業が芝麻信用の信用スコアを参考にすると明言しています。

芝麻信用は信用スコアが600点以上ある人には、街中の雨傘やスマホのバッテリーを無料で貸し出すサービスも展開しています。

前述したように中国人が信用スコアリングを支持しているのは当人が「得する」ということが大きな理由です。スコアが高いとさまざまなサービスを優先的に受けることができるだけではなく、就職や結婚などにも有利に働きます。

信用スコアリングが中国で普及している社会的な理由

中国では、多くの国民が信用できる人かどうかを判断するためのわかりやすい基準として、信用スコアリングを活用しています。

中国は膨大な人口を抱える国です。多様な出自、経歴を持った人がいます。そのため、常識は人それぞれです。継続的な関係がなければ自分の利を追及する「旅の恥は掻き捨て」のような行動があってもおかしくありません。

しかし、このように信用が成り立ちにくいと秩序維持にも影響を及ぼします。また、相手のことを知るために時間をかけざるを得なくなるため、取引コストが増大します。お互いがお互いを信用できる状況を欲していたのではないでしょうか。それが中国での信用スコアリングの普及につながったといえるかもしれません。

日本でも信用スコアリングは普及するか

中国と日本では政治体制、文化、環境が大きく異なり、中国と同様の状況が日本で再現されるとは考えにくいかもしれません。日本は、「おもてなしやお互い様」の文化が浸透している国のため、信用スコアが高い・低いということではなく、本当に困った時は助け合おうという精神を持つ国であり続けることでしょう。

しかし、信用そのものはどの国にとっても重要なものです。「信用」というこれまで漠然としていたものを数値化し可視化する信用スコアリング。日本でも活用される機会が増えるのではないでしょうか。

例えば、インターネットによる婚活、就活ではマッチングが飛躍的に容易になった一方で、候補者選びにかける時間やコストが増大しています。信用スコアリングの活用で候補者をスクリーニングできれば、プロセスを効率化し取引コストを低く抑えることができます。信用スコアをスクリーニングに活用する、そんな流れが日本で加速するかもしれません。

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