教育とITの融合 Edtech(エドテック) ブロックチェーンの活用も


今や「学び」といえば、子どもだけではなく大人も同様に意識を高く向けるものだと考えられます。塾や予備校、資格専門学校、大学に通わなくても、教育(Education)とテクノロジー(Technology)の融合であるEdtech(エドテック)によって、日時を問わず学ぶことができるようになりました。例えば、韓国発の「EduHash(エデュハッシュ)」は分散ネットワークであるブロックチェーンによって教育機関、塾、予備校という枠組みを介さずに教育サービスを提供しています。こうした取り組みが普及すれば、今までにない新しい学びが誕生するかもしれません。

教育の終わり、学びの始まり

「5年以内に最上の教育はウェブからもたらされるようになる」
(“Five years from now on the web for free you’ll be able to find the best lectures in the world,”)

これは、2010年にマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏がカリフォルニアのレイク・タホエで行われたテクノロジーカンファレンスで述べた言葉です。ゲイツ氏最高の教育は大学ではなく、Web上で行われるようになると予測していました。それから数年、インターネットを通じて教育とテクノロジーの融合が進み、いつでもどこでも自由に学べるようになりました。

インターネットで検索すれば、大抵の知識はすぐに手に入ります。義務教育の現場でも知識詰め込み型ではなく、知識とテクノロジーを活用していかにアウトプットするか、「正解のない問題」に対応する力が求められるなど、教育のあり方が変わりつつあるのです。グローバルな視点でみると、教育格差の是正が課題となっています。

アメリカの私立大学では4人中3人が平均400万円の学生ローンを抱えており、借金を返済しきれずホームレスになる人もいます。良い教育を受けたいと思うものの、学費が最終的に負担になってしまうのです。日本でも奨学金の支払いについてはたびたび課題として挙がりますが、教育を受けたくても後々の金銭負担が「おもし」となり、思い切り学べる機会を損失している人もいるでしょう。エドテックには、こういった金銭負担による教育格差を是正する目的もあるかもしれません。

大人でも「学び」に対してエドテック(Edtech)を通じたサポートを受けられる

学びといえば、子どもだけでなく大人も同様です。例えば、アメリカのスーパーマーケットチェーンWalmart(ウォルマート)では教育プラットフォームと提携し、大学の学位を取得していない従業員を対象として、フロリダ大学、ブランドマン大学などでビジネス、サプライチェーンマネジメントを1日1ドルで学ぶことができます。オンライン受講も用意し、1日1ドル以外はすべてウォルマートが学費を負担しています。

また、LinkedIn(リンクドイン)は2015年に15億ドルでオンライン教育大手のLynda.comを買収し、企業研修のほか従業員のキャリア支援も行っています。また、Starbucks(スターバックス)はアリゾナ州立大学と提携して、オンラインを通じて学士号取得を支援し、アメリカの従業員の大学授業料を全額負担しているのです。同社では2025年までに2万5,000人の従業員の支援を目標に掲げています。

こうした立場や年代も超えた学び「リカレント教育(学びなおし)」の重要性が高まっていることがわかります。AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)・ロボットが人間の仕事を代替する未来においては、人間にしかできない仕事にシフトすることが必要です。学生時代には学べなかったものを学び、思考力を高めて、さまざまな知見を得たうえで、実務で役立て、会社の発展のために役立ててほしいという企業側の希望も推測されます。

教育機関の枠組みに捉われない学び「EduHash(エデュハッシュ)」

教育から学びへとシフトしていくなか、韓国の企業が教育機関の枠組みにとらわれない学びを提供するプラットフォーム「EduHash」を開発しました。従来の大学や予備校といった教育機関においては、学習者は画一化した教材で勉強する以外に選択肢がありませんでした。例えば、英語で文法に課題がある場合、文法力を強化する教材を使うべきですが、個人の能力に合った教材を選ぶことができず、講師の指導力に依存していました。

そこで同社が注目したのが、動画配信サービス大手のNetflix(ネットフリックス)の仕組みです。Netflixでは、自動で個人の好みに合ったコンテンツを推奨する「キュレーション」というサービスがあります。このモデルを参考にして、学習者と講師がAIによるキュレーターでP2P(ピアツーピア)のやりとりをして学びを得るプラットフォームEduHashが誕生。ITの多国籍企業DXCテクノロジー社と協業し、グローバルに展開しています。

学習者はキュレーターの助言に従って教材や講師を自由に選ぶことができます。さらに、学習者自身がオリジナルのコンテンツを作り、それを販売することもできるのです。成績が優秀な学習者や良い評価を得た講師に対してはトークンを支払い、モチベーションを向上させる仕組みも構築しました。なお、このプラットフォームにはブロックチェーンが採用されています。

教育分野や所属を問わず、講師と学習者が直接つながり、低コストで学びを得ることができます。また、相互にトークンのやりとりができるのもブロックチェーンならではの仕組みです。トークンとは仮想通貨から派生する独自通貨のため、流通量が増えれば増えるほど、価値が高まるという副次的なメリットもあります。

このトークンのやりとりにより経済圏が生まれ、学びがさらに活性化する可能性を秘めています。EduHashは、教育機関に講師と学生が属している構図から、学生がキュレーターの意見を参考にしながら、講師とコンテンツを自由に選ぶ枠組みに転換するプラットフォームといえるでしょう。

よりよい学びを、広く世界から得る

学びには目的があり、「その目的を達成するため何が必要か」ということに対して絶対解はありません。しかし、Eduhashの取り組みからもわかるように、自分にとってよりよい「学び方」を世界中から募ることができる環境が生まれつつあります。ブロックチェーンによって、今までにない成長できる学びが得られる日もすぐそこまで来ているといえるでしょう。