FinTech(フィンテック)の宝庫エストニアのスタートアップ3選


人口約132万人(2017年1月)の東欧の小国エストニアは、行政サービスのほとんどをオンラインで完結させることができる「電子国家」として注目されています。

選挙、会社登記、税申告など、電子化のもととなる技術を支えているのはスタートアップです。なかでもFinTech(フィンテック)では世界的に、また日本国内でも使用されるサービスが出てきています。今回は3つのスタートアップを紹介します。

なぜエストニアがIT先進国になり得たのか

1991年に旧ソ連が崩壊し、エストニアは国独自の仕組みを次々と作り出しました。国を支える目立った産業がなかったエストニアですが、人工知能など旧ソ連の最先端技術研究を集結させたサイバネティクス研究所が首都のタリン市内に存在しました。

この研究所に所属していたエンジニアがエストニアの国家再建に大きく貢献します。エストニア政府はITに注力し、エンジニアらと協力してITを活用し国のシステムを整備していきました。その流れは途絶えることなく連綿と続き、エストニアをIT立国に変えたのです。そんなエストニアではイノベーティブなITスタートアップが続々と生まれるエコシステムが出来上がっています。

それでは、エストニア発のFinTechスタートアップについて見てみましょう。

TransferWise 国際送金サービス

TransferWiseは国際送金サービスです。銀行経由で他国に国際送金すると海外送金手数料や為替手数料が高くつき、日数もかかります。TransferWiseは為替手数料をかけることなく、国際送金を可能とするサービスです。他国に海外送金する必要があるものの他国の通貨を持たないユーザーの代わりに、複数の通貨の口座を持つTransferWiseが国内の口座から送金するという仕組みです。

例えば、アメリカの企業Aに送金したい日本のユーザーがいたとします。その場合、ユーザーの代わりにTransferWiseのアメリカの口座から企業Aに送金します。他国の通貨に換金する作業が発生しないので、為替手数料が抑えられるのです。

これまでに3億9,600万ドルと巨額の資金調達に成功しており、世界中から注目されています。

Fortumo モバイルキャリア決済サービス

モバイルキャリア決済サービスのFortumoは350以上の携帯キャリアと提携しており、100ヵ国以上で利用されています。Fortumoはクレジットカードを所有していない人でもデジタルコンテンツ購入の支払いを携帯電話料金と合算して支払えるようにします。特に中東欧、中南米などの新興国において利用されています。

デジタルコンテンツを販売する企業はFortumoを利用することで「クレジットカードを所有していない人にもコンテンツを販売できるようになる」と重宝しています。日本企業とも提携し、アプリ開発者のマネタイズを支援する取り組みが進んでいます。

Funderbeam ブロックチェーンを活用した投資プラットフォーム

従来、投資家がスタートアップに投資する際は投資先企業の情報収集が困難なこと、投資した資金の流動性が失われることが課題でした。これを解決するのがブロックチェーンを活用した投資プラットフォームであるFunderbeamです。スタートアップ関連のデータベースとブロックチェーンを活用したトークンを発行しています。

Funderbeamは世界中からスタートアップ関連のデータを収集し膨大なデータベースを構築しています。ユーザーはデータを参考に自分が投資したいスタートアップを決定できます。出資者にはそれぞれ、スタートアップへの出資比率に応じたトークンが配分され、ブロックチェーン上に記録します。なおトークンはユーザーの好きなタイミングで売買することもできます。出資したスタートアップが利益を生むとその1%が利用手数料として自動的に徴収されます。

また、Funderbeamはスタートアップへの投資をより開かれたものにする投資プラットフォームとして注目されています。ターゲットはIPO(新規株式公開)の前にある企業で、ブロックチェーンを活用した取引も展開しているのが特徴だと言えるでしょう。

スタートアップの成長、住民生活にも好影響

世界の企業が新しいサービスを国単位の規模で投入する場合、大国だとばく大な費用がかかります。その点、規模の小さなエストニアであれば市場での実験がしやすいでしょう。結果、最新のサービスがエストニアから生まれ、人々の暮らしも豊かになっているのです。

多種多様なスタートアップがエストニアで誕生し、世界から注目されています。エストニア国内のスタートアップが成長していることは、国の経済成長に一役買っていることが分かります。日本企業もエストニアのスタートアップ企業に関心を持っており、楽天は2015年にFits.me社を買収するなど身近な存在にもなりつつあるようです。エストニアのスタートアップが日本国内でも聞かれる存在になるのは、そう遠くないのかもしれません。

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