夜遊びで日本経済が盛り上がる?経済学でも注目されるナイトタイムエコノミーとは


日本を訪問する外国人観光客(インバウンド)は年々増加しています。政府が掲げる観光立国実現に向けて、インバウンドをターゲットに夜の娯楽を充実させて消費活動を喚起するナイトタイムエコノミーに注目が集まっています。カジノを含む統合型リゾート(IR)なども検討されており、将来的に年間4,000億円規模に成長すると期待されるナイトタイムエコノミーについて解説します。

イギリスのナイトタイムエコノミー「パープルフラッグ」とは

日本政府観光局によると、2017年のインバウンドは前年比19.3%アップの2,869万人で過去最高を記録しました。消費総額は前年比17.8%増の4兆4,161億円で、5年連続の過去最高となり、初めて4兆円を超えています。

一方で、1人当たり旅行支出は15万3,921円で前年比1.3%のダウン。インバウンド客をどうもてなすかに意識は向けられていたものの、日本では従来、インバウンドを活性化させる方策として、昼間にどこを観光してもらうかが中心でした。夜にどう楽しんでもらうかという視点、つまりナイトタイムエコノミーが欠けていたのです。

昼間はもちろん、ナイトタイムエコノミーで日本滞在中の満足度をアップさせることは急務です。これまで十分に活用されていなかった夜間の市場をナイトタイムエコノミーで有効活用することで、大きな消費額の伸びが期待できます。

ナイトタイムエコノミーの成功事例として、イギリスで一定の水準に適合した地域を認証する「パープルフラッグ」があります。リバプールではかつて荒廃していたエリアを、ナイトクラブやライブハウス、レストランなどのナイトタイムエコノミーに活用することで、週末に人が集まる場所へと変貌を遂げました。

イギリスではナイトタイムエコノミー全体で約6%の収益を上げ、これは日本に当てはめると約80兆円の収入となります。

ナイトタイムエコノミーは日本経済の成長に繋がる

外国人観光客は通常、日中は観光で忙しいものの、夕食後は時間を持て余しています。インバウンドが日本での夜の観光に不満を持っている現実から、ナイトタイムエコノミーに観光ニーズがあることが分かります。ナイトタイムエコノミーは確実に観光の成長や地域の活性化はもちろん、日本経済の成長に繋がるのです。

政府は、経済成長を見込んでインバウンド向けの観光施策を後押しし、自民党は2017年4月、「時間市場創出(ナイトタイムエコノミー)推進議員連盟」を設立。交通インフラや立地のほか、残業規制などの諸問題解消を検討し、若年層の安全や保護への配慮などもナイトタイムエコノミーの課題となっています。

文化庁によれば、文化芸術資源で稼ぎ出す経済を文化国内総生産(文化GDP)と呼び、日本は2011年度に全体の1.2%にあたる約5兆円でした。これを将来的にフランスやカナダ並みの3%(約18兆円)まで拡大したいとしています。夜には閉鎖されている観光や文化資源を公開するなどで、ナイトタイムエコノミーへの期待が膨らんでいます。

2015年の風営法改正により、2016年より規制緩和されたナイトタイムエコノミーへの参入障壁は低くなり、夜間のサービスを始めた大手企業も増加。夜の娯楽は徐々に充実し、夜に始まるショーや早朝まで営業するバー、レストランなどナイトタイムエコノミーへの取り組みは始まっています。

カジノなど統合型リゾート(IR)の動き

2016年12月、IR推進法が成立、施行され、有力企業が水面下で事業参入を検討。ナイトタイムエコノミーへの動きは一段と活発になっています。

国土交通省観光庁(観光戦略課)は、「観光立国推進基本計画(改定案)」で政府がIR実施法案を策定する方針を明記しました。

そこには政府が観光立国実現のために、総合的、計画的にやるべき施策を明示しており、宿泊や食事、案内や各施設の整備について説明。カジノなどのIR関連では犯罪防止や青少年の健全育成、依存症防止など、国会での審議や国民的な議論を踏まえ、ナイトタイムエコノミーに必要な法制上の措置を検討するとしています。

ナイトタイムエコノミーで日本経済を盛り上げよう!

これまで、「夜遊び」といえば悪いイメージが支配的でした。しかし、毎年増え続けるインバウンドの消費を拡大させるには、ナイトタイムエコノミーの推進は欠かせません。夜の時間を有効に活用し、カジノなど新しいナイトタイムエコノミーが安全な娯楽サービスとして成長するには、警備や治安など政府が一定の法規制を徹底することも求められています。

訪日する多くの外国人観光客に、夜の時間を安全に楽しんでもらえるナイトタイムエコノミーの成長が待たれます。

 

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