中国の例で考える信用スコアのメリットと課題とは?


2018年11月27日に、LINEがみずほフィナンシャルグループとともに「信用スコア」に参入することが発表されました。日本でもジョイントベンチャーやメガベンチャー、大手通信会社などが参入を表明しており、今後も参入予定の企業が増える可能性もあります。一方、信用スコアの活用が進んでいる中国では、信用スコアのメリットとともに課題も浮き彫りになっています。

中国の信用スコアのメリットとは

中国ではアリババの芝麻信用(ジーマ信用)や、テンセントの騰訊征信(テンセント信用)などが有名です。なお、芝麻信用はAlipay(アリペイ)に紐付けられていて、その人の信用力を表すものだとされています。例えば、社会活動の履歴をもとにして、毎月350点から950点の間でスコアが算出されます。

芝麻信用のスコアが高いと、就職活動や転職活動、結婚相手を探すお見合いで優遇を受けられる他、スコアが650点以上であれば医療機関で診察を受けるときに与信で支払いが可能になったり、デポジットなしでホテルの予約ができたりします。さらに、一部の地域への渡航に対して旅行ビザが取得しやすくなることや、雨が降ったら傘を無料でレンタルできたり、シェアバイクのレンタルに保証金がいらなくなるなど、さまざまなメリットがあります。

信用スコアが高い人はお金のコントロールも得意だと考えられ、クレジットカードの限度額やキャッシング限度額が上がるとともに、借り入れ利率が低くなるなどのメリットもあります。

中国の信用スコアの課題とは

こういった信用スコアが導入される背景には、健全でマナーの良い社会を目指しているということにあります。中国では生活の大半において現金ではなく、Alipayを活用して決済を行っている人が多く、どこで何をしたかという生活のデータを、スマホの位置情報とセットで収集しています。そのため、その人がどこに住み、どこで働いているのかなども予測ができるようにデータが蓄積されているのです。

一方で、芝麻信用ではどのような交友関係を持っているのかまでもわかるようになっており、自分よりもスコアが低い友人については、友人関係を解消する人まで出てきています。なぜなら、信用スコアの高い友人を持つことはそれだけスコアアップ源泉になり、逆にスコアが低い友人はそうはならないからです。そのため、抜け道を使って信用スコアを上げる業者も登場しているのです。

上記のような不適切なスコアの上げ方をする人が増えれば増えるほど、高スコア保持者を優遇するサービスを提供している業者は損をします。今後はどのような信用スコアであれば今以上に信頼や信用を得られるのかが検討、実行されることがテーマになると言えます。

信用スコアがもたらす未来の姿とは

現在のアリババやテンセントの信用スコアは、ショッピングでの決済だけではなく、預貯金、融資、保険、資産運用などさまざまな分野に渡ります。アリババは2018年10月に新しい保険サービス「相互保」を発表しましたし、テンセントは独自のゲームで信用スコア「騰訊遊戯信用(テンセントゲームクレジット)」を導入するなど、これまでとは異なる新たな取り組みをスタートさせました。

今後は信用スコアが高い人はスコアを維持に勤しみ、信用スコアが低い人はスコアを高くするための行動をするでしょう。また、1度でも罪を犯したり、信用情報に傷がついた人であっても、健全に生活すればリベンジできるような仕組みを整えれば、悪徳行為やグレー業者によるビジネスが減る可能性もあります。そういった取り組みをすることで、真の信頼できるスコアを生み出すことができ、健全かつ誰でもチャンスが生まれる世界を創造できる可能性があるのです。

2019年は日本の信用スコアに注目を

日本では2017年にJ.ScoreがAIスコアを開始したことを皮切りに、2018年にはヤフー、NTTドコモ、LINEが参入を発表しました。さらにメルカリも子会社のメルペイを活用して、信用スコアビジネスに参入する予定です。データのみを持つ企業もあれば、ECサイトや通信会社の顧客データを持つ会社などさまざまですが、より正確なスコアを提供することが日本の信用データの鍵になるでしょう。

各社の動向はまだまだわかりませんが、中国のこういった状況を踏まえて各社戦略や対策を取ってくるはずです。あなたもまずは自分の現在のスコアがどの程度なのかを算出するとともに、日本の信用スコアの将来を占ってみてはいかがでしょうか。

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