「資産寿命」どう伸ばす?注目のFinTechサービス3選


加齢と金融を研究する金融老年学(ジェロントロジー)に注目が集まっています。なかでも老後のために「資産寿命」をどう伸ばすかは重要なテーマの一つです。そのためさまざまなアプローチが模索されています。そこでここではこうした視点で生まれたFinTechサービスの事例を3つ紹介します。

資産寿命を伸ばすためのアプローチ

日本は世界有数の長寿国であり「人生100年時代」の訪れも早いと考えられています。現役世代を退いた後、資産が減っていくスピードを抑えつつ老後の生活を維持していくためには、健康のみならず「資産寿命」を延ばしていくための取り組みが欠かせません。「資産寿命」とは、「老後2,000万円問題」で世間を賑わせた金融庁の報告書にも登場する、「ためた資産がどれくらいでなくなるか」を意味するものです。リタイア後は現役時代より収入が減ることはほぼ間違いなく、資産を少しずつ切り崩しながら生活していくことになります。その資産が、尽きるであろうときが資産寿命ということになります。

資産寿命を延ばすためのアプローチは多岐にわたります。例えば「生活費が安い場所へ引っ越す」ということも一つの方法です。

毎月の出費が減れば資産の目減りスピードを抑えることができます。一方、資産を増やす取り組みとして株式投資や不動産投資で資産運用するといったアプローチも方法の一つです。ただ投資の場合は「運用に失敗し資産が減少するリスクがある」「着実な運用を続けるための勉強は欠かせない」といった点は押さえておきましょう。

投資に関する知識の向上は運用だけでなく「金融詐欺の被害を防ぐ」という観点からも重要です。

具体的にどのような課題があるのか?

このようなアプローチを個人が実践し資産寿命を延ばしていくことは可能ですが、高齢者ならではの課題もあります。加齢による判断力の低下や認知症の発症によって資産の適切な管理・運用が難しくなってしまう可能性はだれにでも起こりうるリスクです。そんな中、こうした課題を見据えた高齢者向けのFinTechサービスに注目が集まっています。

FinTechサービスは銀行などの金融機関やスタートアップ企業、ベンチャー企業などがサービス展開へ積極的に取り組んでいる傾向です。ここでは代表的な事例を3つ紹介します。

1.EverSafe(アメリカ)

EverSafeはアメリカのスタートアップ企業が展開するFinTechサービスです。対象者が保有している金融機関の口座情報を常時監視し取引状況などに異常がないかを調べてくれる第三者による「見守りサービス」の一種といえるでしょう。例えば認知症の症状には「繰り返し行動」があるため、1日に何度も預金を引き出すケースなどがあります。

こうした異常が検知された場合、該当口座の保有者の親族や専門家へ通知される仕組みです。また判断力が低下するとこれまでは問題なくできていた正常な判断ができなくなり金融詐欺に遭う可能性が高くなりますが、こうした被害の未然防止に役立つサービスともいえるでしょう。

2.バークレイズ銀行(イギリス)

イギリスのバークレイズ銀行では、金融詐欺に遭うリスクや被害額を極限まで低くすることを目指し「見守り」とは別のアプローチとして高齢者向けに利用可能額や利用可能場所を制限したデビットカードを発行しています。バークレイズ銀行はこのほか独自のアルゴリズムによって金融詐欺に遭いやすい人を見つけ出し、事前に注意喚起を行うサービスも展開しています。

3.Kindur(アメリカ)

アメリカ企業が団塊の世代向けに展開する「Kindur」というFintechサービスでは、資産寿命を延ばすためのマネジメントサービスを低コストで委託できます。定額年金化して資産が一気に減ることを防いだり資産運用を代行し資産を増やしたりするサービスを提供しておりワンストップで老後の金融戦略について相談できるのが特徴です。

前述のEverSafeやバークレイズ銀行と比べてコンサルティングの要素が強めのサービスといえます。

早いうちから対策を考える必要性

寿命が延びれば延びるほど高齢になってからの資産対策は重要度を増します。「老後破綻」や「貧困老人」といった状況に陥らないためにも加齢と金融を常にセットで考えて早いうちから対策を考えておきたいところです。

Photo by jirsak&godfather on AdobeStock.com

 
【この記事を読んだあなたにオススメ】
・「人生100年時代」のキャリア戦略 どう学びどう生かすかがカギ
・豊かな老後のために!30代から実践したい年収アップ法
・データから読み解く老後2000万円問題。理想のライフスタイルとは
・2,000万円の老後資金。年齢別の積立額で考えてみた
・フリーランスの生活が会社員よりも苦しくなりやすいワケ