保険業界もAI化!InsureTech で保険サービスはどう変わる?


人工知能のAI(Artificial Intelligence)が話題にあがっています。「あと10年でなくなる仕事」や「AIが人間の仕事を奪う」といった言葉を聞いたことはあるでしょう。AIでなくなるであろう仕事の中には保険に関する仕事も入っていることはご存じでしょうか。

保険会社におけるAIの導入の役割

金融とITの融合領域FinTech(フィンテック)が注目を集めています。さらに特に保険についてはInsureTech(インシュアテック)という言葉が使われるようになり、保険業界にも確実にIT化の流れが押し寄せているのです。そこでいまひとつわかりにくいAIを活用した保険について解説していきます。

保険業界のIT化というと定型の処理を自動化し業務効率を上げ、コスト削減するものが多い傾向でしたが、現在ではそれを超えるIT化が進んでいます。このIT化の第2波を支える技術の一つがAIなのです。

AIの強みはビッグデータと呼ばれる膨大なデータを分析し、ルールや傾向、法則を瞬時に導き出せるところです。先進的なAI技術を駆使すれば多種多様な要素から個人の状況に応じて保険料を算定できるだけでなく、加入時の審査や保険金の支払い調査も自動化できるのです。

企業は業務を自動化することで人件費を大幅に削減できます。加入者の状況に応じ正確に保険料が算定できると収益の改善も期待できるでしょう。

また自動化によって保険に関するプロセスが短縮されシンプルになれば顧客満足度も向上します。

保険契約者は自身の状況にあったテーラーメードの保険に加入できるようになり、加入時や保険請求時にはスムーズな対応を受けられるようになるのです。AIの導入は保険会社にとっても保険契約者にとってもメリットが大きいのです。

保険会社でAIはどのように活用されているのか

日本の保険業界では、主に保険会社の営業や事務職員を補佐する目的でAIの活用が進められています。文字を認識したりパソコンを自動操作したりするAIは、保険の契約希望者から受け取ったデータや書類を読み取り処理することが可能です。

契約者の情報や契約者とのやりとりを学習させることにより、コールセンター業務の効率化および最適化や顧客にあった保険の提案にもAIが利用されています。

よりクリティカルな部分では、これまで専門の職員が行っていた企業や保険契約者の信用力分析にAIを利用する企業もあるのです。

世界の保険業界に視野を広げるとITやAIをフル活用する保険サービスが登場し巨額の投資を集めています。アメリカのスタートアップ企業のレモネード社が提供する損害保険がその典型例で、契約希望者はパソコンやスマートフォンで見積もりができ数秒で契約することが可能です。

損害があった場合には、複雑な請求書類の記入は不要で、立ち入り調査もなくスマートフォンで撮った写真を送信すると数分のうちに保険金が支払われます。保険金の支払いやクレーム処理などはチャットボットが対応するなど、まさに保険版フィンテック企業にカテゴライズされるでしょう。

この保険サービスは技術の力で煩雑な保険の加入および請求手続きを大きく変え、そのプロセスを劇的に短縮したのです。

AIを使った今後のサービスの広がり

IT化やデバイスの小型化が進む中で個人が自身について取得できるデータは増えています。スマートフォンを持ち歩けば歩数を数えることができるし、スマートウォッチをつければより正確な歩数はもちろん心拍や睡眠の状況といったバイタルデータを取得することも可能です。

そのため保険会社の中には加入者に対してスマートウォッチを割引価格で提供し運動してもらうことでポイントを付与したりキャッシュバックしたりする企業もあります。

加入者の健康増進を促して保険金の支払いを抑えるだけでなく、AIに学習させるデータを収集する意図もあるのかもしれません。健康や運動に関するデータ以外にも運転についてもある程度のデータが収集できます。

これらのデータは一つひとつは小さくても保険会社が加入者から得るデータが積もりに積もって、分析やAIに学習させるのに有効なビッグデータとなるのです。

データを企業に提供することに戸惑いを感じる人もいるかもしれません。保険業界で扱うデータは機密性が高くデータの扱いについては細心の注意が求められるのは当然です。

しかし適切にプライバシーを保護した状態で企業間、業界内外でのデータを共有可能にするDLT(Distributed Ledger Technology=分散型台帳技術)の実証実験や導入も進んでいます。AIとあわせて保険業界のIT化で注目しておきたい技術の一つです。

データの蓄積によりAIの精度はどんどん向上する

今後さらに多くのデータが蓄積・共有されていけばAIの精度が向上していきます。保険会社の業務効率と収益が改善し、契約者はそれぞれの状況に応じ適切な価格の保険に加入して、快適なサービスを受けられるようになるでしょう。AIを活用した保険の変革はもうすでに世界で始まっているのです。

Photo by WrightStudio&metamorworks on AdobeStock.com

 
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