フィンテックの浸透に欠かせない「レグテック」とは?


レグテック(RegTech)はRegulation(規制)とTechnology(テクノロジー)を融合させた造語です。金融規制の強化にともなうコストや労力の増大など金融機関の負担を軽減するソリューションおよびフィンテックの浸透に欠かせないキーワードとして需要が高まっています。

「金融システムの安定と消費者の保護」がフィンテックの課題?

近年、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせたフィンテック(FinTech)が、革新的なサービスを次々と生みだし金融業界に大きな影響を与えています。レグテックは規制およびコンプライアンスの要件をより効果的かつ効率的に解決するためのフィンテックの一種です。決済・送金や融資、保険などすでにさまざまなフィンテックサービスが世界中で提供されています。

しかしイノベーションは利便性の向上やコスト削減などポジティブな恩恵をもたらす一方でサイバー攻撃による顧客情報の漏えいなど予期しないリスクも否めません。またAI(人工知能)やブロックチェーンなど先端技術の採用と金融市場への潜在的な影響に対する懸念なども指摘されています。消費者や企業が安心してサービスを利用できる環境作りは、フィンテックを広範囲に浸透させるうえで必要不可欠です。

こうした課題に対応するため、金融システムの安定と消費者の保護を目的にフィンテックの規制を促進する動きが世界各地で活発化しています。

国際金融規制環境の変化に対応するレグテック

金融機関や企業が新たなフィンテック規制に対応し遵守するうえで重要な役割を担う技術がレグテックです。レグテックは先端テクノロジーを駆使し規制対応業務を効率化することにより金融市場をめぐるさまざまなリスクを軽減する一方でコンプライアンス費用や労力の削減を図る手段として生まれました。2008年のリーマンショックを機に国際金融規制環境は大きく変貌を遂げています。

金融システムの健全性と安定性を維持すると同時に市場競争力を強化する意図で国際金融規制改革を実施。2027年にはG20加盟国で「バーゼルⅢ(国際的な金融規制策定)」が完全適用されます。規制は年々複雑化しているため、深い専門知識と手間のかかる処理が必要です。またスマートフォンやインターネットの普及に伴い従来の金融サービスをインターネット経由で提供する新たな風潮が生まれ金融市場に大きな影響を与えています。

世界の金融機関や民間企業は、目まぐるしく変化する各種規制や市場の需要への対応に迫られていますが、これには膨大なコストや労力を要します。レグテックの需要がコンプライアンス管理や金融犯罪対策、本人確認や融資審査など広範囲にわたり拡大している背景には、こうした理由があります。

スタートアップが加速させるレグテック

レグテックへの投資も年々増加傾向にあります。FinTechGlobalのデータによると2018年は2014年のほぼ5倍に値する44億 8,450万米ドルに達しました。スタートアップへの投資も加熱しており多数のスタートアップが革新的なアイデアと技術で規制環境の課題解決に貢献しています。ここでは3つの例を確認してみましょう。

Theta Lake(アメリカカリフォルニア)

ビジネス・コミュニケーションツールとしてビデオ通話やチャットが主流となりつつある現代社会に密着したAI・深層学習プラットフォームを提供しています。ビデオコラボレーションやビデオマーケティング、ソーシャルビデオなどデジタル通信からコンプライアンスリスクを検出。コンプライアンスレビューのコスト削減を図るというものです。

REGnosys(イギリス)

REGnosysは元ゴールドマン・サックスのシニア・マネージメント・ディレクターが立ち上げました。複雑な規制の透明化を図り監査・追跡・遵守を容易にするコンプライアンス・プラットフォームを提供しています。

PROCIVIS(スイス)

ブロックチェーン技術をベースとするデジタル・アイデンティティ・ソリューションや電子政府への申請手続きサービスを提供しています。

レグテック市場をリードするスタートアップが次々と登場しています。またスタートアップと金融機関、金融監査機関間のコラボレーションも今後さらに加速するものと予想されます。レグテックの台頭は、フィンテックが流動性と機敏性を保ちながらコンプライアンスを維持するうえで欠かせないものとなるでしょう。

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