新しい金融ビジネス「ネオバンク」や「チャレンジャーバンク」って何?


新しい金融ビジネスとして「ネオバンク」や「チャレンジャーバンク」が注目されています。いずれも利便性の向上や手数料の削減を目的とするFinTechから生まれた金融サービスです。しかしそれぞれのビジネスモデルは大きく異なります。

ネオバンクとは?

ネオバンクは従来の銀行と比べて取引手数料が低く送金や審査のプロセスが簡単で早い点が最大の特長です。店舗を訪れる手間なくオンライン上で口座開設や各種サービスが利用できる点もデジタル世代を中心に人気が拡大している理由の一つでしょう。ネオバンクは支店など路面店舗を持たないため、アプリやウェブプラットフォームなどを通し顧客との取引を100%デジタルで行います。

また基本的にネオバンクは銀行免許を取得していないため、従来の銀行と比べると提供できるサービスに制限があります。銀行免許は消費者・投資家の保護や市場の健全性維持を目的に各国の金融当局が発行している銀行業務許可です。法的規制をすべて満たしている場合はフル(Full)、特定領域のみ満たしている場合はスペシャライズド(specialised)など条件に合わせて発行されます。

フルライセンスを取得していないネオバンクは銀行免許の有無や種類によりサービスの範囲を制限したり従来の銀行との提携関係を介して自社のサービスを提供したりするのが一般的です。例えば米国の決済スタートアップSimpleは、親会社であるスペインの大手銀行ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)の銀行免許を利用する形でサービスを提供しているほか、PayPalのように電子マネーだけを取り扱うネオバンクもあります。

チャレンジャーバンクとは?

「リテールバンキング(個人向け銀行業務)を合理化するテクノロジーを駆使し従来の銀行に挑戦している」という意味でチャレンジャーバンクと呼ばれています。設立年数も浅く小~中規模であるものの顧客用の支店も構えており銀行免許を取得しているため、普通口座だけではなく預金・投資口座、保険、融資商品など従来の銀行と同じサービスを提供可能です。

また金融規制遵守が課されている点で信頼性が高いというメリットもあります。2019年3月の時点で世界中に約100のチャレンジャーバンクが存在すると報告されていますが、その台頭としてドイツのN26が急成長を遂げています。2013年にドイツのベルリンで設立されたN26は、もともとはネオバンクとして2015年にサービスを開始しました。

翌年には銀行業務ライセンスを取得し、2019年に欧州全域で350万人以上の顧客を有するトップ・チャレンジャーバンクの地位を獲得しています。サービス内容は無料・有料プランにより異なるものの基本プランでも口座開設や管理、国内・国外送金、ATMによるユーロ建て出金、Mastercardのデビットカードが無料で利用可能です。従来の銀行が打ち出しにくい「顧客重視のサービス」を提供しています。

またパスワードの代わりに指紋認証システムを採用し、さらにMastercardとの提携の元3Dセキュア(本人認証サービス)でオンライン決済の安全性を高めるなど高セキュリティを確保。同じくネオバンクからチャレンジャーバンクに成長したスタートアップとして英国発のRevolutやStarling Bank、Atom Bankなども知名度を高めています。

ネオバンクとチャレンジャーバンクの未来

ネオバンクもチャレンジャーバンクも高額な手数料や送金スピードの遅さなど従来の銀行サービスに対する消費者の不満から生まれた金融ビジネスです。スマートフォンの普及やテクノロジーの進化が起爆剤となり過去数年で急激に存在感を増しています。しかし「大手銀行VSネオバンク、チャレンジャーバンク」という図式は、一概には当てはまりません。

ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリアのようにネオバンクやスタートアップを積極的買収することにより、FinTech市場への参入を加速させる動きも大手銀行間で見られます。競走ではなくコラボレーションという選択も増えると予想されます。また新たなネオバンクが生まれる一方、ネオバンクからチャレンジャーバンクへとステップアップするケースも引き続き見られるでしょう。
こうした背景からインドの市場調査会社Varicant Market Reseachは、ネオバンクとチャレンジャーバンクの世界市場規模が、2025年までに3億5,600万米ドルに達すると予想しています。ネオバンクとチャレンジャーバンクの台頭と拡大が買収や合併を促し、世界の金融界の再編を巻き起こす可能性もありそうです。

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