AIのアウトソーシング「AIaaS」とは?市場拡大の可能性は?


ハードウェアやソフトウェアに大きな投資をすることなく、既存の問題の対処法を模索する手段として、AI(人工知能)のアウトソーシングである「AIaaS(Artificial Intelligence as a Service)」 を利用する企業が増えています。

2024年には市場が1兆円規模に成長すると予想されるAIaaSについてが解説します。

必要に応じて利用できる「as a Service」とは?

近年人気を集めている「as a Service(サービスとして)」は、必要なサービスを必要な分だけインターネット経由で利用できる新しいビジネスモデルです。利用環境を整えるための製品やシステムを購入する必要がなく、インフラ構築の手間やコストがかからない点が最大のメリットです。

同様のモデルとして、SaaS(サービスとしてのソフト)、PaaS(サービスとしてのプラットフォーム)、IaaS(サービスとしてのインフラ)などが知られています。

4割以上が採用を躊躇 その理由は?

国際コンサル企業マッキンゼー・アンド・カンパニーが2019年に実施した調査結果からは、ITからテレコム、小売、自動車、旅行、輸送、金融、医療まで、広範囲な産業でAIの採用が増加していることが明らかになっています。「1つ以上の部署でAI機能を採用している」と回答した企業は、前年から11ポイント増加の58%に達しています。

しかし残りの42%にとっては、採用にあたり何らかの障害があるものと推測されます。普及状況や用途は産業により異なるため一概にはいえませんが、導入・維持コストやインフラの構築、適切な人材の確保・育成などが、採用を躊躇する理由ではないでしょうか。

通常、自社でAIを開発する場合(外注も含む)は、需要に合わせたハードやネットワークなど利用環境の設計・構築、膨大な量のデータの取得・検証・処理、プロットプロジェクトの実験や比較、調節、周辺システムの開発など、時間とコストのかかるプロセスが必要となります。また社内に導入・維持するためには、専門知識と経験のある人材も欠かせません。

以上の要素を考慮すると、自社開発はある程度の資力と人材、専門知識を持つ組織に向いており、そうでない企業にとってはハードルが高いということになります。

AIaaSを利用するメリット・デメリット

AIaaSはこうした問題をクリアし、中小企業から大手まであらゆる規模の企業が、低コストで気軽にAIを利用し、データ主導のビジネス上の決定を利益につなげるチャンスを創出します。専門知識が必要な側面はプロバイダーに任せ、企業側はあくまでユーザーとしてサービスを利用できるため、「AIを本格的に導入する前に試してみたい」といった企業間でも需要が伸びています。

ユーザーはプロバイダーのクラウドプラットフォームから、機械学習による予想分析や音声認識・画像認識、アプリ開発、ID認証、自然言語等さまざまなAIサービスを利用し、カスタマーサービスの強化やシステムの自動化、音声アシスタントやチャットボットの開発などを行うことができます。

また、料金は利用した分のみ加算されるため、パッケージ化されているサービスのように「自社には必要のないサービスにも料金が発生する」という無駄が省けます。一方、自社で構築したAIシステムと比較すると柔軟性に欠け、障害が発生した場合は復旧に時間を要するなどのデメリットもあります。

2024年には市場規模が1兆円突破?大手IT企業が続々参入

Amazon(AWS)やGoogle(Cloud Platform)、Microsoft(Azure) 、IBM(Developer Cloud)などの大手IT企業は需要の拡大を見越し、数年前から独自のAIaaSを提供しています。それぞれに特徴があり、AWSのAIサービスは機械学習初心者でも、Google Cloud Platform(GCP)は開発者向けの機械学習APIやAI Platform、Azure AI は世界で初めて人間と同等の認識率を達成した機械学習アプリ、IBMは大手AI開発の先駆けとなったWatson(ワトソン)を、あらゆるクラウド環境向けのオープンAIとして提供しています。

スタートアップも徐々に市場に参入しています。データサイエンス分析に特化した機械学習プラットフォームを提供する米Dataiku社、AIソリューションおよびインフラストラクチャの構築をサポートする、北欧最大のプライベートAIラボSilo AI社、シンプルさにこだわった機械学習プラットフォームを提供するBigML社、仕事を劇的に効率化させるAIソリューションを提供するカナダのElement AI社など、大手と差別化を図るAIaaSをセールスポイントにしています。

このような背景から、AIaaS市場は今後急速に成長すると予想されています。アイルランドに拠点を置く市場調査企業リサーチ・アンド・マーケッツの調査によると、AIaaSの市場規模は2018年の時点で約20億ドル(約2149億4940万円)に達しており、2024年にはCAGR(年平均成長率)34%で成長。約116億ドル(約1兆2467億円)に達する見込みです。

AIaaSを利用する際の注意点と今後の動向

AIにはさまざまな種類があります。また、AIからビジネスの価値を生みだすため、自社の規模や業種、採用目的、利用環境、人材などを考慮し、最適なシステムを導入する必要があります。
気軽に利用できるAIaaSにも同じことが該当するため、業界とAIの両方に詳しい専門家のアドバイスを参考にすることも重要です。

今後も需要拡大に伴い、業界に特化したAIaaSが増えることが予想されるでしょう。

Photo by Vitalii Vodolazskyi&Blue Planet Studio on AdobeStock.com

 
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