MARCO

【インタビュー】MARCOさんに聞く「あなたのターニングポイントは?」Vol.1


――人には、自分だけの物語がある――
人には数え切れないほどの可能性があります。
夜空に無数にある星の中でひときわ煌めく星のように、自分の可能性を信じ、夢に向かって一歩踏み出し、輝き続けている人の原点やターニングポイントはどのようなものなのでしょうか。
第2回はMARCOさん。彼女の物語とは?


©MARCO

ヴィヴィットかつノスタルジックな色彩と、不思議に印象的な構図の写真に定評があるMARCOさん。ファッション誌やアーティストのポートレートを始め、世界各地の風景などさまざまなジャンルの写真を世に送り出しています。モデルや俳優から、「ぜひMARCOさんに撮って欲しい」と熱いラブコールを受けるその魅力の原点は、どのような物語の中で培われてきたのでしょうか。

——昨年開催された写真展『Innocent Blue』を拝見しました。とても鮮やかな写真でびっくりしました。どのようなお気持ちでしたか。

過去の写真展に比べてかなり大きい規模の会場だったので、展示内容や方法についてすごく悩みましたが、ディレクターの方のアドバイスも頂いて満足いくものにできました。展示内容は撮りためてきた旅の写真をメインにしつつ、これまで発表していなかった“水中写真”という新しいジャンルにも挑戦したんです。「子供を産んでからも攻めの姿勢で行きたい!」という思いがあったので、実現できてよかったですね。会場が代官山蔦屋のすぐ近くという場所柄もあり、今まで私のことを知らなかった方にもたくさん見ていただけたのも嬉しかったです。

——そこで、ご自身の作品も販売されていましたね。

実は、自分の作品を販売したのは初めてだったんです。せっかくの機会だと思って、思い切ってやってみました。依頼を受けて撮る仕事ではない“自分の作品”は、今までは自分の好きな物だけを撮りっぱなしていたところがあるんですが、販売するとなるとどうしても買い手の方の思惑が気になってしまって……。「受け入れてもらいやすい写真ってなんだろう?自分の表現したいことってなんだろう?」と考え込んでしまって大変でしたが、“自分の作品“について色々と考え直すいい機会になりました。何度も会場に足を運んでくれた方が、「6畳一間の風呂なしの家にこれ飾ります」と言って買ってくれたりもして。自分の作品を誰かの家に置いてもらえるって、単純にとても嬉しいことだなって思いました。

写真という最大の遊びとの出会い まだ見ぬ師匠との出会い

——写真の構図や色彩が本当に艶やかで、妖艶にも思えます。ヴィヴィッドな色彩や他の人が思いつかないようなユニークなポートフォリオに思わず惹きつけられてしまいます。小さな頃から写真がお好きだったのですか。

ちょうど中学生の頃、いわゆるガーリーフォトブーム全盛期だったんです。それまで写真というと観光名所のハガキの写真くらいで、お堅くておしゃれじゃないので興味がなかったんですが、そのイメージが一気に変わり、私もブームに乗っかった形で、使い捨てカメラで身の回りの物を撮り始めました。撮っていくうちにどんどんのめり込み、次第に使い捨てカメラだけだと物足りなくなっていって、コンパクトカメラを買ってもらいました。

当時のガーリーフォトブームで現れた写真家さんで憧れていた人は何人かいたんですが、特に蜷川実花さんという写真家が撮る写真は、自由でなんだか疾走感があって刹那的で……、とても惹かれました。

——初めて手にしたカメラで、何を撮りましたか?

身の回りのなんてことない物ばかり撮っていました。例えば、電気のコード、マヨネーズ、自分の目とか友人とか。積み重なって捨てられている青いゴミ袋とか。なんの一貫性もなく。ただ撮っていることが楽しかったんです。

「レンズにカラーフィルターを1枚挟んだらどんな色合いになるのかな」とか、「お昼と夕方では光の射し込み方にどんな変化があるんだろう?」とか、自分が気になることをいろいろ試してみましたね。露出とか絞りの加減だとかの専門的なカメラの知識を得ようともせず、ただただ色々撮って遊んでいました。私にとっては気軽に物作りをしているような気分にさせてくれる最大の遊びだったんです。

道を狭めない方がいい、大学には行った方がいい。親の意見を聞き入れ大学進学へ。

——写真の楽しさに中学生で目覚めたとのことですが、高校生になってもその熱は冷めなかったのですか?

冷めずに続きました。高校生の時は、友達とモデルごっこじゃないですけど、ポーズをつけて撮りあったり、現像した写真をカラーコピーして本を作ったりしたこともありました。身内だけで盛り上がっていたお遊びでしたけど、雑誌を作っているような感覚で面白かった。自分が撮った写真を使って一工夫すれば、またこうして別の形が生まれるんだ、写真の並べ方一つでこんなに印象が変わるんだ、という発見がありましたね。今でもそうやって自分だけの写真集のようなカラーコピー本を作るのが趣味で、よく作っています。

——その時からフォトグラファーの道に進もうと思われたのですか。

具体的にフォトグラファーになりたいとは、その時点では全く思っていませんでした。ただ、自分の将来像として、大学を卒業してどこかの会社に就職して……という道は違うなと思ったんです。何かを作って表現することがしたいと強く思っていたので、進学するなら大学ではなく専門学校だなって。なので、専門学校の資料を取り寄せたり、学校見学に行ったりしました。

でも、両親に専門学校に行きたいと相談したら反対されてしまって。「そんなに早い段階で道を狭める必要はない、大学に行ってから専門学校に行けばいい」と強く言われて、最終的にはそれに押された感じでしたが、ギリギリで受験勉強を始めて大学進学の道を選びました。

大学の時に出会った人たちは今でも仲の良い人がたくさんいるし、違う分野で活躍している友人から刺激ももらえるので、今となっては大学に進学してよかったと思っています。

——大学進学後、カメラについて学ばれましたか。

大学在学中は写真部に入っていましたね。学校に暗室があったので、そこでプリントの基礎的なことを教えてもらいました。あとは単発のアルバイトのような形でカメラアシスタントの仕事も何度かやっていました。ただ、技術的なことは何も知らないので、現場に行っても荷物を運ぶくらいしかできませんでしたけど……。写真の道を本格的に目指すという気持ちがあった訳でもないんです。何を目指す訳でもないけど、でも「何かやらなくちゃ!」と、ただ悶々とした生活を送っていたら、気がついたら大学3年生になっていました。

周りの人は就職活動を始めていたんですが、やっぱり自分がどこかの会社に就職するという道が想像できなくて……。とりあえず1、2年は海外留学をして、外の世界を見るのも良い経験に繋がるんじゃないかな?なんて甘く、軽く考えていたんです。そんな時期に、憧れの写真家である蜷川実花さんがアシスタントを募集されているのを、実花さんの公式HPで見つけたんです。

蜷川実花のアシスタントになりたい!と行動を起こした日

MARCOさんは続けます。

その募集を見て、さすがに興奮しました。自分が写真を始めるきっかけになった人ですから。それですぐに履歴書と簡単なポートフォリオを送ってアシスタントに応募したんです。

勢いで応募したものの、「実花さんの下で働いて、ゆくゆくはプロの写真家の道へ進むぞ」という気持ちは、その時点ではまだ固まっていなかったんです。写真は私の最大の趣味で、大好きなものには変わりなかったんですが、仕事と趣味を直結して考える頭が働いていなかったし、好きなことを深掘りするだけで満足だった。だから、アシスタントに応募したことも、「アシスタント経験を経て何か新しい道が開かれるかもしれないな」くらいに思っていました。

——在学中に蜷川実花さんのアシスタントに応募されたんですね。

そうです。だけど履歴書を送って3ヶ月経っても、先方からの連絡はありませんでした。

VOL.2では蜷川実花さんのもとに弟子入りしたMARCOさんに迫ります。彼女はアシスタント時代、何を考え、転機を迎えたのでしょうか。

 

MARCO
1982年、長野県生まれ。2003年、慶應義塾大学在学中より写真家・蜷川実花氏に師事し、4年半のアシスタントを経て、2008年に独立。以降、雑誌や書籍、広告などのファッション、ポートレート撮影などで活躍。著書に『Spring Pedals by lovely hickey』(双葉社)がある。

主な活動 倖田來未CDアルバム『dejavu』/竹内涼真『Ryomania』/松井玲奈『ヘメレット』/佐藤健カレンダー、広瀬すずカレンダーなど。
オフィシャルHP  http://marco149.com
Twitter https://twitter.com/marco149
Instagram https://www.instagram.com/marco149/

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