SNSでもカリスマ性抜群のインフルエンサー ヘアアーティスト木村直人さんの「ターニングポイント」Vol.2


木村 直人
岡山県出身。air執行役員ディレクター
常に日本の最先端を走るトップクリエイターの一人。カット、カラーリングなど、斬新かつ洗練された上品なトレンドを発信し続けているオールラウンドプレイヤー。WebメディアやSNSでの情報発信力、主宰するオンラインサロン「マルチバース」での活動を始め、活動の枠は美容師にとどまらず幅広く活躍している。
http://www.air.st/
http://naotokimura.tokyo/
https://twitter.com/air_kimura
https://www.facebook.com/naoto.kimura.167

 

多大な影響力を持つ美業界の革命児!「ヘアアーティスト木村直人さんのターニングポイント」Vol.1

発信する情報を絞り、美容のカテゴリー以外には言及しない

——Twitterで呟いたことがリツイートされて一気に拡散したり、ブログ記事をアップすれば瞬く間にシェアされたりと、木村さんの発信する美容情報は検索エンジンを介さない、口コミの力で広がりをみせて注目を集めています。ご自身のメディアに至っては月間200万PVを達成し、年間およそ1000万人以上が閲覧しているというのは、まさに規格外の成果ではないでしょうか。

ありがとうございます。でも、狙ってどうこうしたという訳でも、計算され尽くしたテクニックがあるとかでは決してなくて、ごく自然体でインターネットの世界と向き合った結果がコレなんです。まずブログに関しては、ただ単に生活を綴ったものであり、自分の頭の中で感じたことを素直に書いているだけなので、特別なことは何一つありません。

かつては、集客を目的の一つとして意識したこともありました。お客さまとのコミュニケーションツールとして役立てていたんですが、そのうちお客さまと対話をしているような文章を書く癖がついてきたので、いつしか定着していたんです。

ただ一つだけ徹底していることがあります。僕は美容業界のプロですから、美容のカテゴリーに関してはいくらでも思ったことを書きます。あとは自分の持っているもの、たとえば家族や子供の話などもそうですね。しかし、経験したことのないもの関しては、いちいち言及はしません。僕が政治の話をしたら、とても余計なことだと思うんですよね。専門のカテゴリーではないので、発言することで人に誤解や不快感を与えてしまうかもしれません。「知りもしないくせに、なに言ってるんだ?」と、炎上の火種にもなり得ます。一度でもそういうレッテルを貼られてしまえば、挽回するのはなかなか難しいものですから。

——一つの主義や態度を貫くというのは、確かに説得力があります。美容情報に特化することで、読み手に記事の意図を深く理解していただくきっかけにもなります。

おっしゃる通りで、知ったかぶったりするのが一番みっともないことだと僕は思ってるんですよ。だって得意分野でもないのに能書きを垂れるなんて偉そうじゃないですか。必要最低限の情報と、自分が今世間の皆さまやお客さまに伝えたいことを冷めないうちに端的に書く……。それで十分なんです。

——Twitterでは工夫されていることはありますか?

特にありません。ブログと同じような心持ちです。美容のカテゴリーに徹するということですかね。僕はSNSの中ではTwitterが一番好きなんです。それはなぜかといえば、人の悪いところがすごく見えるからです。悪口というのは言ってはいけないことですが、人はやっぱり愚痴などの心に溜め込んだものをどこかで吐き出さないと、前に進めないと思うんですよね。たとえば、「今日はこういうことがあってムカついた」「毎日スッキリしない日が続いてる」など、そういった心模様を探れるのがTwitterの良いところかなと思うんです。Twitterはカジュアルに悪口が書けるところがあって流せるけど、Facebookに書かれても不快感が残るように思うんですよね。

実をいえば、サロンにいらっしゃるお客さまのTwitterはよくチェックしています。「ふーん。彼女は今、こんなことで悩んでいるのか。仕事が忙しすぎてテンパっているなぁ」など、感じるものがありますからね。予習ではないですけど、お客さまの状況は把握するようにはしてます。

僕はお客さまが来ても、カウンセリングはほとんどしないで鏡の前でこう言うんです、「病んでますか。例の件、好転してないなら今日はバスっと切っちゃいますか」と。Twitter上の愚痴というのは、「なにがあったの」と詮索するのではなくて、放置しつつ見守ることが大事だと思うんですよ。だから深くは追求しないで、僕が感じ取ったお客様の気持ちや変化を、ヘアスタイルに盛り込むんです。

稼働力とスピード感が鍵 インフルエンサーになるには?

——合理的なだけではなく、お客さまとの距離感も絶妙に保っているんですね。サロンワークをこなす一方で、インターネットも有効活用。その結果、集客数や収益を伸ばすという実績も証明済ですが、どうしてそんなにフットワークが軽いのでしょうか。

物理的に、髪を切っているだけが収入につながっているのかといえば僕の場合そうではなくて、コンサルタント業、セミナー、商品開発、オンラインサロン、雑誌などの撮影を楽しんでいます。あっちもこっちもという印象を持たれるかもしれませんが、稼働力とスピード感を持ってそれらと真剣に向き合えば、どれも質を落とさずに消化することができるものだと思うんです、人間というものは。

ただみなさんはそれを端折って、やらないだけだと思うんですよ。僕はまだまだ成長過程にあると思ってますが、いわゆるインフルエンサーと呼ばれる求心力のある人たちには隙が本当に見当たらなくて、こちらが想像している以上の物量をうまくコントロールしながら回してるんですよね。

もちろん、睡眠時間を確保したり、家族との時間を大切にしながら、僕はできる限り24時間稼働してやるという意気込みを持って仕事と対峙してきました。メールはためずに即対応する、できればその場で。なるべく時間の無駄遣いはしたくないんですよ。たとえば、電話は1対1のやりとりで、自分の時間も相手の時間も拘束することになりますよね。僕はなんかこれ、すごく勿体ないと思うんです。その1対1の時間で、1対100の仕事ができたかもしれないじゃないですか。極端な物言いですけど、インターネットを有効活用するとは、こういうことなんではないのかなと。

先ほども言いましたけど、僕は特別なことをしている訳ではないんです。ただ、今の時代にあったインターネットとの向き合い方やアプローチを日々探りながら、実践しているだけだと思っています。自分よりもベテランの人が必ずしも正解だというわけではありませんし、僕らの世界ではヘアコンテストなどがありますけど、それで賞を取ればうまいのか?ゴールなのか?賞を取ったことで一時的に集客を伸ばすことはできても、なにか手を打つなり別の角度からお客様を刺激し続けないと、なにもかも意味はなくなります。一過性では先が持たない、それが美容業界の難しさだと思っています。

——かつて、カリスマ美容師ブームが栄華を極めましたが、実際は倒産や廃業の危機に瀕してる店が多いようですね。業界で長く生き残るためには、個々が動いていかないといけない時代になったんですね。

僕はそのような危機を目の当たりにしてきたので、余計に敏感なのかもしれません。今の美容業界、僕より年が上の方々は、新しいものに対しての抵抗感を持っているのか、ソーシャルメディアやインターネット全般を生活と完全に切り分けて考えてる人が多いように思うんですよ。一方で、若い世代の美容師たちはのびのびとSNSを楽しみ、集客にしっかり結びつけています。流行のヘアスタイルがあるように、世の中も転換していますから。その変化を読もうとせず、変われないサロンは淘汰されるんだと思います。

>>Vol.3では多岐に渡りご活躍されている木村さんが大切にしているお考えに迫ります。仕事や生き方のスタンス、部下とのかかわり方など、木村さんはどのようにお考えなのでしょうか。