流行り廃りのない、本当に美味しいコーヒーのこだわり GLITCH COFFEE&ROASTERSオーナー兼バリスタ 鈴木清和さん Vol.3


神田神保町『GLITCH COFFEE&ROASTERS』のオーナー兼バリスタの鈴木清和さん。世界基準のスペシャルティコーヒーが飲めるとあり、国内はもちろん、世界中からその味を求めて多くの人が訪れています。固定概念を覆す一杯は、どのようにして生まれているのか?彼の先鋭的な姿勢に迫ります。

今回は神田錦町での1号店の設立と、2018年5月10日に新しく開店された赤坂2号店の思いについてお話をお聞きしました。

>>世界標準のコーヒーは「黒くない」「苦くない」。ブームではなくカルチャーを生み出すバリスタ鈴木清和さん Vol.1
>>コーヒーを「徹底的にデータ化」 GLITCH COFFEE&ROASTERSオーナー兼バリスタ 鈴木清和さん Vol.2

鈴木 清和
「生豆」の選定、焙煎、抽出、サービス、知識。全てにおいてトップであり続けることにこだわり、2015年4月『GLITCH COFFEE & ROASTERS』のオーナーバリスタとして独立。日本人として、日本のコーヒーカルチャーを世界へ発信している。店舗は、『GLITCH COFFEE & ROASTERS』『GLITCH COFFEE BREWED @9h』そして、『COUNTERPART COFFEE GALLAERY』の3店舗。

 

究極のコーヒーをあなたに届けたい

–2018年5月10日にカプセルホテル『ナインアワーズ赤坂』が開業しました。とてもスタイリッシュな宿泊施設ですが、その1階には『GLITCH COFFEE&ROASTERS』待望の2号店となる『GLITCHCOFFEE BREWED@9h』がオープン。おめでとうございます。

ありがとうございます。ホテルと併設していますが、宿泊客以外の方も気軽に楽しめる空間です。ただしメニューは、ハンドドリップで淹れたブラックコーヒーのみ。ご希望に応じて砂糖やミルクも一応用意はしていますが、最高品質のスペシャルティコーヒーなので、豆本来の持つ香味や果実感をまずはゆっくりと味わって頂きたいです。営業時間は目覚めの一杯を楽しんでもらいたいと思っているので、朝7時から夕方5時までとしているんです。



GLITCH COFFEE BREWED @ 9h
東京都港区赤坂4丁目-3-14 カプセルホテルナインアワーズ赤坂1F
営業時間 7:00-17:00

–朝の7時から至極の一杯が楽しめるとは、なんとも贅沢ですね。

そうですね。コーヒーの本場オーストラリアなどでは、朝の5時から午後3時までの営業も珍しくありません。その土地の環境やお客様のニーズに合わせると朝早い方がよいのかなと思っています。ここ、神田神保町のGLITCH COFFEE1号店の営業時間は朝7時30分から夜8時まで。社会人の方たちだけではなく、大学生もお越しになります。赤坂のお店は宿泊客の方のことを意識しているということもありますが、ビジネスで赤坂を利用する人も多いと思いますから、多くの方にお越しになっていただきたいと思っています。

–赤坂は海外からの宿泊客も多そうですから、新たな人たちとの出会いもあるかもしれませんね。

確かにおっしゃるとおりです。今までとは違うお客さまとの出会いもあるかもしれません。どんな方にも僕のこだわっているスペシャルティコーヒーを味わっていただきたいと思っています。召し上がっていただければ、美味しさやそこに込めた気持ちなんかはきっと分かってくださると思っているんです。

こと、赤坂のお店に関しては僕にとっても新しいチャレンジです。後でもお話したいと思っているのですが、一緒に働く仲間の成長を見るのが本当に僕にとっても大事なことです。物理的に僕が同時期に赤坂と神保神田町にいることはできないわけです。分身の術がない限りは(笑)。若い子たちにも任せる部分が出てくるかもしれません。それも自分にとっても、相手にとっても成長。味を落とさずに究極の一杯をお客様に提供し続けていきたいと思っています。

そこにしかない唯一無二の場所 それが神田神保町

–初めてのお店のこともお聞きできればと思っています。神田神保町のこちらの1号店は、2015年に立ち上げたそうですね。

今年で3年目です。店内は基本的にブラックで統一しています。ブラックが僕の好きな色という理由もあるのですが、もっと深い理由をいえばあくまでもうちはコーヒーがメイン。カラフルな色使い、スタッフの強い個性があれば、お客様がそちらに気を取られてしまうと思ったんです。ですから黒子に徹する意味も込めて、従業員の服も黒で統一するようにしています。

店舗の奥にある焙煎機、ケトルなども黒でまとめています。店の外にある自転車や古びたベンチ、店内シャンデリア、店内に流す曲はブルース。この辺りは僕の趣味ですね。くるりと店内を見渡した時にどこか懐かしい感じと、ホッと落ち着ける空間を意識して、大好きなものを詰め込んでます。

–神田神保町といえば、古書街として有名です。古くから親しまれている純喫茶やジャズ喫茶などコーヒー文化の根付く場所ですが、渋谷や新宿などの繁華街ではなく、なぜこの街を選んだのですか?

古き良き時代を残しつつも、進化している場所だからです。僕はもともと神保町という町のことを知らなかったのですが、店を開くにあたってどこか良いところはないかなぁとリサーチして回っていた時に偶然ここに訪れ、「かっこいい!」と思ったのがきっかけです。ほとんど一目惚れ状態でした。ここには昔からの有名な喫茶店もたくさんありますが、不思議な統一感というか、そこにしかない個性があるんですよね。無理に作り上げたものではなくて唯一無二の存在感というのは、計算して出せるものではありません。そういったナチュラルなかっこよさが、この街には点在していました。

当然、渋谷や新宿なども考えました。賃貸料は当然高いですが、人の流れがあるのでそれなりの売り上げは見込めます。でも、東京の繁華街というのは流行り廃りが激しいので、その波に飲まれたくはなかったんです。

美味しければ勝負できる そう信じて

僕が扱っているスペシャルティコーヒーというのはラテやカプチーノと違って、もっとシンプルで繊細。決して派手な飲み物ではありません。しかし、香りや味を試していただければ、そのシンプルで繊細さに目に見えない華やかさが加わります。繁華街に出店しなくても美味しいコーヒーだということが分かっていただければ、お客様はきっと来てくれるという自信がありました。だったら、ゆったり心を休めながら味わえる場所が適しているのではないかと思ったんです。

それで選んだのは神保神田町なんです。赤坂のお店とここの1号店は雰囲気も異なりますが、最初の店とあって、こだわりや思いも強く、大切な場所のひとつ。大事にしていきたい場所なんです。

>>コーヒーとの出会い、そして世界からみた日本のバリスタとは GLITCH COFFEE&ROASTERSオーナー兼バリスタ 鈴木清和さん Vol.4

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