『できる人の共通点』筆者が教える『できる人の共通点』の学び方 獨協大学准教授 陰山孔貴先生 Vol.3


人は誰でもできる人になりたいと思うものです。ただ、周囲にできる人だと認めてもらうのは難しく、考え方や行動について迷う人もいることでしょう。『できる人の共通点』の著者陰山孔貴先生(獨協大学准教授)は「できる」とはどのようなことなのかを具体的に書籍にまとめ、2018年に出版されました。これまで数百人のインタビューを通して得た「共通点」とはどのようなことなのでしょうか。

>>企業勤めを経て教育者へ「できる人の共通点」の作者が語るターニングポイント 獨協大学准教授 陰山孔貴先生 Vol.1
>>私が『できる人の共通点』を出版した理由 獨協大学准教授 陰山孔貴先生 Vol.2

陰山 孔貴
獨協大学経済学部経営学科准教授。博士(経営学)。
1977年大阪府豊中市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程を修了後、シャープ株式会社に入社。
液晶パネル事業の経営管理、白物家電の商品企画、経営再建等に携わる。
同社勤務の傍ら、神戸大学大学院経営学研究科専門職学位課程、同博士後期課程を修了。
獨協大学経済学部経営学科専任講師を経て2017年より現職。
2018年より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター技術経営研究部会招聘研究員、2019年よりBarowsky School of Business – Dominican University of California客員研究員も務める。
主な著書に『脱コモディティ化を実現する価値づくりー競合企業による共創メカニズムー』(中央経済社)、『ビジネスマンに経営学が必要な理由』(クロスメディア・パブリッシング)、『できる人の共通点』(ダイヤモンド社)がある。

 

1.「学ぶことがあたりまえ」だと考えている

――それでは、今回のメインテーマである、できる人の共通点について詳しくご教示いただけますでしょうか?まずは1つ目をご教示ください。

はい。まず「できる人は、なんでも自分ごとに捉えることができるという大前提がある」ことを軸にお話できればと思います。まず、できる人は学ぶことが当たり前だと考えています。長い人生、学ぶ時間はいくらでもありますが、できる人は好奇心や吸収力に貪欲だと感じます。人と会うとき、書籍を読むとき、あらゆる物事に対して「なぜ?」と問い、その答えを導き出すために学びます。できる人ともなれば、色々な人から教えを請われる立場になるはずですが、彼らは「どう思うか」と多くの人に意見を求めます。その意見に対して理に適っていると判断する場合は更に追求します。人の考えを聞き、柔軟に考えをまとめたりより深く考えたりと、自分ごとに捉えるのが本当に上手だと思います。
 

2.人生に起きるすべての経験に「意味づけ」をしている

――確かにできる人は「学ぶ意欲が濃い」と感じます。次にお考えになることを教えてください。

そうですね。私はインタビューを打診する時には自分で依頼することもあれば、紹介者を介してお会いすることもあります。どちらのルートでお会いした方もみなさん、熱心にお話をしてくださいます。そして、その会話の中で自分の思考を再整理されている方が多いのです。よく「今日の先生のお話、面白かったです!」と言ってくださる方がいるのですが、インタビューの時、私は簡単な質問をしているだけです。おそらく、これらの方は私の質問をきっかけにして自分との対話の中で何かを発見されているのではないでしょうか。月並みな言い方かもしれませんが、できる人はなぜ自分がそれをするのかをしっかりと考えていると言えます。
 

3.独自の「ルール」を決め、習慣化している

――3つ目の独自ルールにもある、習慣化についてはどのようにお考えですか?

これは他の項目にも通じるのですが、できる人たちは独自の習慣がありますね。ある人は「毎朝必ずこれをする」というマイルールがありますし、「夜はあえて炭水化物を摂らない」というルールを課している人もいます。「これをする」と決めたことをルール化し、習慣化するまでを一連のルーティーンにしているのです。

ある人は「最初は続けるのが大変だったものの繰り返すことでそれが当たり前になった」とおっしゃいました。日々の行動に組み込んでしまえるほどルーティーン化してしまい、結果として歯磨きをするのと同じ様に決めたことに取り組んでいるのです。
 

4. 「運」を大切にしている

――なるほど。三日坊主になる人が多い中、日々の生活に組み込んでしまうほど意識し、行動するのですね。他に、できる人の共通点として挙げられることはありますか?

はい。私が興味深いと感じるのは、運を大切にしているということです。会う人会う人「自分は運がいい」とおっしゃいます。これは言い方を変えてみると、チャンスを掴む力が強いとも言えます。できる人は周囲の協力を得て、うまくチャンスを掴んでいるのだと感じます。周囲の協力を得られるということはそれだけ信用を積み重ねているという証拠でもありますから、彼らの日々の行動にも信用の種が散りばめられているのだと思います。
 

5.「試行錯誤」の末に新たな価値を生みだす

――運も実力のうちだといいますが、それらはチャンスを掴む力があるということなのですね。残り3つですが、どのようなことが言えますか?

はい。できる人というのは総じてアクティブな考え方を持っています。試行錯誤をしながら、いつもと違う視点や新しい切り口で物事を考えたり、探求するという面があります。「今日が一番若い。だから今日から始めるほうがいい」という言葉にもあるように、素早く物事に取り組み、検証を繰り返し、次どうするかを考えていると感じます。
 

6.明確な「判断基準」を持ち、不必要なことはやらない

ここは彼らができる人たちである所以ですが、彼らはやる・やらないの判断基準が明確です。自分がやらなくてもよいことはやらないと決めています。自分のやるべきことだけに集中するので、その分仕事のパフォーマンスがよくなります。結果として、実績を積むことが出来るのです。物事をプラスにするためにある程度絞るというのは理にかなっていると思います。
 

7. すべては「直感」から始まっている

また、彼らは世の中の変化に敏感ですし、「これだ!」と直感で感じたことについては瞬発力もあります。ここぞという時にスタートダッシュを早く切れるため、成果が出やすいのだと思います。ただ、直感で動けるということは、それだけ普段からの学びが多く、豊富な選択肢があるからこそだと思うのです。だからこそ日々知的探究心を養っているのだと思います。
 

「共通点を探ってわかる」できる人ができる人である所以とは

――なぜ、業界や分野が異なるのにできる人には同じ共通点があると思われますか?

それは、スポーツにしろ、ビジネスにしろ、どんな分野であれ、心持ちや習慣が大切なことは同じだからだと思います。そして、試行錯誤を繰り返しながら自分なりの方法で「実行」することが重要なことも同じだからだと思います。

――先程教えていただいた7つの共通点を見ても、年代を問わない普遍的なものもあれば、時代や年代に合わせて変化するものもあると考えます。

そうですね。私が思うのはやはり「自分ごと」に捉えられるかということです。どのようなことであってもまずは自分ごととして捉えられなければ7つの共通点を真似しようと思ってもうまく機能しないはずです。まずは自分ごとにする習慣をつけることが必要ですよね。

――自分のやりたいこと(仕事もプライベートも含め)にまい進しようとしているのになかなか一歩踏み出せないという人はできる人たちのどの点をまずは真似したらよいとお考えでしょうか?

そうですね。とにかく小さくてもよいのでやってみることが大事だと思います。というのも、考えるだけでは何も進みませんので。それってとてももったいないことですよね。小さくてもいいので、一歩踏み出すほうがいいですよね。

――陰山先生は7つの共通点のうち、どの項目が一番大事だとお考えになりますか?

人それぞれですね。「私だったらこれ」をというものはありますが、それが皆さんに当てはまるかどうかは分かりません。皆さんそれぞれが、取り組みやすいものから始めて徐々にできることを増やしていくのがよいかなと思います。

>>Vol.4では大学で教鞭をとる陰山先生から見た現在の学生の考え方や今後の展望についてお話をお聞きします。獨協大学で学生と日々接する陰山先生は学生たちに対してどのようなメッセージを発信しているのでしょうか。さらに、今後の目標とはどのようなことでしょうか。

(聞き手:伊藤 秋廣 撮影:髙橋 明宏)

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