SNS 人気Web漫画家が語る「オンラインとの賢い付き合い方」 Vol.4


>>「Web漫画家」やしあずきさん Vol.1 僕がWeb漫画家になった理由
>>会社員は向かない!信頼、信用が大事なフリーランスとして生きる Web漫画家やしろあずきさん
>>埋もれた逸材たちを世の中に発信したい!Web漫画家やしろあずきさんが語る若き漫画家たちの動向

–やしろさんをはじめ、SNSで自分のことを表現し、共感を得ることで活躍する人が増えてきました。芸能人などに比べると距離も近く、手を伸ばしたら届きそうにも思います。SNSについてご自身のお考えをご教示ください。 

確かに僕もSNSで今の活動へのチャンスを掴みました。僕だけではなくて、SNSを介して情報発信をして、活躍できるようになった人はたくさんいます。

–YouTuberなどもそうですね。芸能人よりも距離が近いので親近感がわきます。かつての読者モデルやブロガーもそういう存在でしたが、さまざまな分野でSNSを介して有名になり、活動をしている人がいると感じます。

確かに、親近感を覚えられることもあるかもしれません。それに、自分が発信したいものと見る側の気持ちが合致すればバズりますし、拡散されます。ほんの少しの工夫で自分の世界が広がる可能性を秘めているのがオンラインの世界だと感じます。

— 実際にDM(ダイレクトメッセージ)をいただくことも多いのではないでしょうか。

ありますよ。中には僕のアンチの人もいるのは確かです。何度も同じコメントをいただくこともありますが、それらを1つ1つ楽しんでいる自分もいるんですよね。正直なところ、一番ダメなのは無関心じゃないですか。アンチってことは僕の漫画を読んで何かしら感じてくれているわけなので、それもひとつの楽しみ方なんじゃないかと思っています。アンチの人に対して返事をすることもありますし、炎上ではないですが活気づく場合もありますし。

— SNSでの配信について気遣っていることはありますか。

僕の漫画はユニークだとか個性が強いと言われますが、自分以外の人のことを悪く言ったり、誰かを不幸にしたりしませんし、モラルに反することは描かないと決めています。それはSNSに漫画を配信すると決めたときから変わらないんですよ。これを配信することでどのような影響があるのか、人からどう思われるのかをとても意識しています。というのも、1回オンラインに配信されるともう誰にも止められません。元の投稿を削除したとしても、削除前に万一コピペされると、その内容は永遠にオンライン上に残ります。配慮を重ねるのに越したことはないのです。

— SNSにはさまざまなトラブルが生まれています。SNSでの投稿内容が社会問題になるほどです。TwitterやTikTokなどでつぶやくべきではないことや、映すべきではないものの映り込みがあったり、ストーカーまがいのことが起きたり。

10代の若い子を中心にトラブルが起きていますよね。投稿する本人は悪気がないと思うんですよ。おそらく軽い気持ちで投稿しているんだと思いますが、人や企業などのことを悪く書くのは良くないですよね。何かあった場合にはブーメランで自分に跳ね返ってきます。

以前、アルバイト先で本人や周りがいたずらだと思っていて配信した内容が実はモラルに反していたと話題になった会社がたくさんありましたよね。会社がプレスリリースでお詫びの文書を配信するようなこともありました。経済的な損失を被った企業もあったかもしれませんし、風評被害にも遭ったおそれがあります。結果的に学校を中退せざるを得なくなった人もいますよね。

社会人でも同じですよね。殺害予告や脅しのような投稿を書き込んでしまい、それがもとで会社を解雇になり、社会的にも大きな制裁を受けた人もいます。みんな、投稿する時はその後の影響をあまり考えていないと思うんですよね。冗談では通用しないし、少し考えれば分かること。ただ、考えない。なんでなんでしょうね。

ひとつ言えることは、フォロワーが数人・数十人しかいないアカウントの場合、いつも友達とばかりやり取りをしているので、このアカウントの閲覧者はフォロワーの友人たちだけだと勘違いしてしまうんじゃないかと思うんですよね。鍵付きアカウントじゃないんですから、1度配信してしまえば友人だけではなくて誰でも見れる状態になります。そうなれば、誰かにリツイートされて、そのツイートが全世界に配信されることすらあるんです。炎上するアカウントっていうのはそういうリスク認識が足りないことが共通していると思います。

–炎上したアカウントに対してオンライン上で叩きあいが始まり、個人情報等がさらされてしまうこと多々あります。

おっしゃるとおりですよね。そういう炎上事例があればみんな見境がなくなり、オンライン上でツイートしたアカウントのことをこれでもかというほど叩いたり、個人情報等を伏せ字でさらしたりしますよね。確かにモラルに反する投稿をした本人は悪いと思いますし、叩かれる原因を作ってしまっていることは否めません。

しかし、第三者が本人や家族の本名、住所、生年月日、勤務先や学校をさらす必要は全くないんです。下手すれば友人や恋人だってさらされるし、誤った情報も飛び交います。面白おかしく個人情報をオンラインで書き込むことで、自分が後で罰せられるおそれがあるとか、そういうことを考えずに叩く。ずっとクソリプのような誹謗中傷が届く場合もあると聞きますし、SNSを通じてデマがどんどん拡散されていくんです。お構いなしですよね。

–今ではSNS上でのいじめの問題も起きています。

そうですよね。ツイッターでもそうですが、鍵付きアカウントでやっていることは外部からは見えないんですよね。LINEでもそうです。

子どもたちだけのコミュニティがそこには形成されます。親や学校の教師の監視下からどうしても離れてしまいます。表面的には仲良くみえても裏では結構やっている。よくないですよね。

でも、親や教師の立場でいえば、自分の子ども・自分の教え子たちだけは大丈夫だと勝手に思い込んでいる部分が少なからずあります。しかも、親世代は若い頃からSNSに触れていたわけではないのだから、十分に教育することができません。

学校でSNSをはじめとしたインターネットリテラシーを学ぶ時間があればいいですよね。ただの座学ではなくて、実際にSNSをきっかけに自分の人生が横道にそれたり棒に振ってしまったりした人の話を聞けば、SNSの危険性を理解するのには十分だと思うんですよね。明日は我が身だと思えば、すぐに実行すべきだと思いませんか。

–おっしゃるとおりだと思います。また、最近では新しいサービスもたくさん増えています。すぐに買い取ってくれるサービスに対してどっちのほうが高く買い取ってくれるかの優劣をつけようとしてよく検証もせずに書き込みをしたり、ある特定のサービスに対して事実ではないと思われる書き込みをしたり。ただ、会社側も誰がどういう内容を書いているかはチェックしているものだと思います。場合によっては名誉毀損や風評被害で訴えられるリスクがありますよね。どうしてそういったリスク認識が持てないのでしょうか。 

それは書き込んだ後にどのようなことが起こると考えられるか、予測していないからだと思いますね。これが名誉毀損に当たるとか風評被害で訴えられるかもしれないとか、そういうことを考えずに、思ったことをそのまま配信してしまうのは違うと思いますね。

というのも、1度配信すると二度と消すことは出来ません。削除依頼をしたとして、応じてもらえるかどうかは分かりませんし、誰かがコピペすれば永遠に残ります。誰も見ていないと思っている気軽さと安易さがすべてを失うおそれもあると認識すべきですね。

–これからのSNS時代を生きる若い人たちにアドバイスをいただけますでしょうか

まず、配信する前に1回自分が今からしようとすることがモラルに反していないかどうかを確認すること。これは絶対ですね。誰かを傷つけないかどうかもよく考えるのです。また、配信された後、自分に何かしらブーメランが起きたとしても恥ずかしくないか、自分の意見があるかどうかも大事です。遊びではないことをよく考えたほうがいいですね。 

ただ、それくらい影響があるということを念頭においたうえで、有効活用したほうがよいかと思います。先程も申しましたが、コンテンツより個に注目が集まる時代が訪れています。どのような見方をされるのかを意識したうえでコンテンツを配信すれば、よりクリエイターである漫画家その人自身も注目されるようになると思いますよ。

また、SNSに関して言えば、自分からあまり有名になりたいという強い願望を持っている人で成功した人はいないような気がします。売れることや有名になることが重要なのではなく、本当に好きなこと、やりたいことを表現する場として有効利用すればいいと思いますよ。僕の周りにいる充実したインフルエンサーたちは、自分の好きなことを突き詰めていったらそこにファンがついて、どんどん数字が追いついたという感じなんです。有名になりたいという動機も多少なりとも持つべきものなのかもしれませんが、自己表現したいことがどこに向いているのか、ツイッターなのか、インスタグラムなのか、そういう見極めも大事だと思いますね。

–最後にご教示ください。SNSを活用した活動やエンゲージメントは今後も増していくと思いますか。

そうですね。ここまで話してきましたが、SNSを通じて僕のように仕事の幅が広がって自由に生きている人もたくさんいます。どう人に見せるか、見られるかを意識することによって、自分のことや作品が世の中にどう広まるかを予測し動くことによって、チャンスはたくさん広がっていくと思います。モラルを守って思い切り自分が頑張れるところまでを頑張ってみたらよいのではないでしょうか。チャンスはたくさんあると思いますよ。

 

昨年には、Amazonの電子書籍の売上げランキング1位とライブドアブログのランキング1位を同時獲得し、2019年7月時点でツイッターのフォロワー数が40万人突破とますますの勢いを見せるやしろさん。Web漫画家として不動の人気を博し、若い漫画家の支援者としての活動を行うやしろさんのチャレンジは今後も続きます。

やしろさんはWebで自身の作品を表現し、読者とのリアルな反応を見つつ自身のスタイルを確立していきました。一生懸命取り組むことで評価され、読者が増え、収入を得られるようになったのです。Webを活用した戦略は大胆さや発想力が求められる反面慎重な対応が求められます。

これからの時代、個の力を強めるためには「これだ!」と思う道を突き進める貪欲さと一生懸命さ、周りから信頼を積み重ねるための誠実さ、そして高い倫理観のあるインターネットリテラシーが重要な要素になりそうです。あなたもやしろさんのように時代の流れを読み、自分のやりたいことにチャレンジしてみませんか。

やしろあずき
1989年生まれ。自由業。株式会社wwwaap執行役員。元ソーシャルゲーム会社員で、2015年の投稿漫画が年間RT数4位の約13万RTを獲得し書籍化。動画サービス「vine」で再生数世界一位も記録。

 

【この記事を読んだあなたにオススメ】
・SNSでもカリスマ性抜群のインフルエンサー ヘアアーティスト木村直人さんの「ターニングポイント」Vol.2
・これからの時代に必要になるエクスポネンシャル思考を紐解いてみる
・フェイクニュースに惑わされない分解力。事情通に情報が集まる理由とは
・信用経済の生き方とは?「好き」を続けることが影響力に
・未来への投資」の話 ZUU社長 冨田和成 × J.Score社長 大森隆一郎対談 Vol.1