アートのビジネス活用

ロジックとの融合 今、アートがビジネスに活用される理由に迫る


日々のビジネスで企画を立案し、問題解決するためにアートで磨いたインスピレーションを活用する必要性が高まってきました。論理的思考だけでは行き詰まる場面であろうビジネスの場で、アートで培う感性がもたらす効果について考えてみましょう。

ビジネスでアートが活用されるようになった事情

これまでビジネスの現場では、データ分析や科学的な実証に基づき、論理的なアプローチで問題に対処するのが普通でした。ひらめきや直観力よりも、論理的思考に基づいた企画や意思決定、問題解決が重視される傾向にありました。アートとビジネスは切り離された存在と考える人が多いでしょう。

ところが近年におけるテクノロジーの発展で、ビジネスの現場に変化が生じています。データ分析など、理路整然とした作業はコンピュータの得意分野となり、ルーティーン化された業務はどんどん自動化されるようになりました。さまざまな現場でディープラーニングを元にした「学習機能のあるコンピュータ」、すなわちAI(人工知能)の現場参入が増え始めています。

過去のデータや実証など規定概念に沿った考え方をもとにしたロジカルアプローチはコンピュータやAIが、仕事の大半の部分を担う時代がやって来たのです。その結果、ビジネス現場で私たちに求められるようになったのはアーティスティックなアプローチです。既成概念に基づいたロジカルアプローチでは導き出せない、直観力や柔軟な発想力が必要となってきたのです。

ビジネスシーンで本当にアートが取り入れられているのか

そうはいうものの、ビジネスでアートが取り入れられているシーンがあるのでしょうか。一例をあげれば日本にも2月に上陸したWeWork。世界中に拠点を構えるWeWorkはそのデザイン性にも注目が集まれているのは言わずもがなですが、そこにはアートな側面があるといえます。WeWorkでは人がメンバーの行動をすべてデータ化、分析しています。その結果をもとにオフィス設計が行われていますが、ここにオシャレなデザインを加え、オフィス全体をアートのように見せることに成功しています。これによってメンバーが日々快適にオフィスで仕事ができますが、ここには行動設計による理系的な発想と、オシャレさなどの空間演出をもたらすアート的な発想が見て取れます。

WeWorkのみならず、GoogleやFacebookなどをはじめ、世界の大企業にはそういったアート要素を取り入れたオフィス設計を行っている企業も数多くあり、こういった場でもビジネスとアートの関連性を見出すことができます。

なぜ、ビジネスでアートが盛んに意識されるのか

こういったオフィス設計などにもアートの要素が取り入れられている一方、ビジネスパーソンにもアート思考への意識が高まっているといえます。ニューヨークやロンドンなど最先端のビジネスの現場では、マーケティングや財務のようなMBA分野ではなく、アートを学ぶビジネスマンが増えています。アートに癒やしを求めているわけではなく、アートで脳を鍛え、自由な発想を生みだす訓練をしているのです。

アートで養われる直観力や柔軟な発想力は、右脳の働きで生み出されます。一方で論理的思考は左脳で処理されます。これまで左脳の働きに頼りがちだったビジネスの意思決定や問題処理に、右脳による新たなアプローチを加えようとしているのです。

右脳からのアーティスティックな思考を取り入れると、ビジネスの場で次のようなアプローチを取ることができるでしょう。

・ロジカルアプローチで取った方策について、アーティスティックな視点で問題を再考察する・概念にとらわれない自由な発想をもとに、一見無関係なアイデアとイベントに関係性を持たせる
・想像力を駆使して、ゼロからアイディアを生み出すことができる
・ビジョンを具体的な行動に変える
・難解なシチュエーションを解読し、そこから浮かび上がる情報を見極めて意思決定できる

アートとロジックの活用はどちらも必要不可欠

感性よりも論理性が重視されてきた日本では、アーティスティックなアプローチをビジネスに取り入れることに抵抗を覚える人も多く、まだ多くの人にとってなじみがありません。しかし、AIの登場や企業のグローバル化で、今後はロジカルなアプローチとアーティスティックなアプローチとをうまく組み合わせてビジネスに生かしていくことが重要になっていきます。

一朝一夕では身に付けられないアーティスティックな感性を磨くために、できることから始めてみませんか。

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