ついにAIの医者誕生 人生100年時代のMedTechは生活をどう変えるか


2017年7月に厚生労働省が発表したところによると、日本人の平均寿命は、男性が80.98歳、女性が87.14歳と過去最高を記録しました。日本は世界でも2位の長寿国です。戦後に延びた平均寿命は医療の進化が大きく寄与したと言われています。

そんな中、医師の代わりに診断結果を出す医療機器、いわば「AIドクター」が、米国の国家機関に初めて認可されたことで話題となりました。「人間50年」と言われた織田信長の時代とは様変わりし、現代は人生100年時代も近いと言われていますが、躍進が目覚ましい「MedTech」はどのように世界の医療を変えるポテンシャルを秘めているのでしょうか?

「AIドクター」が糖尿病網膜症を診断

2018年4月にアメリカ食品医薬品局(FDA)が販売を認可したのは、医療機器メーカーIDxが開発した「IDx-DR」と呼ばれる医療機器です。この機器は、特別な網膜カメラで目を撮影します。画像を医師がクラウドにあるサーバにアップロードするだけで、視力を失う可能性のある、中度以上の糖尿病網膜症かどうかをAIが診断します。

従来までは医者が画像を確認して病気であるかを判断していました。しかし、このようなテクノロジーの導入が進むと、素早く診断結果を出すことができるようになる可能性があります。そうすれば、現場の負担も軽減されていく可能性があります。

日本でもAIが女性の白血病を診断

実はIBMでも自然言語処理能力に優れたAI「ワトソン」の開発に力を入れています。ワトソンは、11年に米国の人気クイズ番組「ジェパディ」に出場し、同番組の歴代チャンピオンたちを相手に勝利し、一躍脚光を浴びたことでも有名です。

同時に、ワトソンを医療分野にも応用するべく、研究を進めています。IBMはワトソンに医療機関が蓄えた大量の研究論文を読ませ、ゲノムデータ(DNAを作る塩基の配列)の情報を学習させています。

日本でも、東京大学とIBMが共同でワトソンの応用研究を進めています。16年に東大医科学研究所が「ワトソン」を使用し、診断が難しい白血病をわずか10分で見抜き、患者の命を救ったと報道されました。さらに「ワトソン」の指示で抗がん剤を別のものに変えたところ、数ヵ月で退院することができたそうです。

人間を上回る成績を取るAI

中国では2018年の1月、AI製造のiFlytekと清華大学が共同で開発したAIロボット「暁医」が、中国の医師国家試験に合格したというニュースが話題となりました。

「暁医」が試験結果、600点中456点という好成績を収め、合格ラインの360点を大幅に上回る結果を出しています。プロジェクト開始からわずか9ヵ月でこのような好結果を出したそうです。徐々にAIロボットに結果が見えるようになっているといえます。とはいえ、すぐにAIロボットが医師に取って変わるような状況はまだまだ先の話かもしれません。

また、2016年にはオランダの大学が開催した乳がんの画像診断コンテストで、病理医に交じってAIも参加しました。制限時間を設けて診断の精度を競った結果、AIが人間を大きく上回る結果を出し、社会を驚かせました。

ビジネス面でも加速!AIならではの課題も?

このように、医療面での活用や研究が進んでいるAIにはビジネス界も注目しています。2018年5月には、スタートアップ企業のUbieが関電ベンチャーマネジメントから資金調達を受けたと発表しました。

同社が提供しているのは、現役医師が監修したAIによる問診ツールです。2013年から病名予測アルゴリズムの研究を始め、医療機関向けのツール「AI問診Ubie」と一般ユーザー向けのアプリ「Dr.Ubie」を提供しています。

また医療情報システムを企画、開発する企業の情報医療は、2018年4月までに三菱商事など4社から11億円の資金を調達しました。今後、医療現場の実情に合わせ、それぞれに適したAIを開発していくと発表しています。

人生100年時代、MedTechが我々の生活をより豊かにする

このようにAIによりMedTechの可能性が見えてきたのではないでしょうか。しかし、AIは診断が得意な反面、医療倫理を学んでいないことが現在の課題だと言われています。AIが担うことができない領域を人間がサポートしつつ、AIの診断結果をもとに医師が今後の治療方針を決めていくという使われ方が、今後は当たり前になるのかもしれません。そうすれば、今よりさらに早期発見早期治療が進められ、今以上に明るく健やかな日々を過ごせるようになることでしょう。