ジョブズやGoogle、インテルも「マインドフルネス」が自己実現に有効な理由とは


マインドフルネスは、ビジネスパーソンに推薦されるトレーニング法として注目されています。一方で、なぜマインドフルネスが仕事に良い効果を与えるのか、具体的な根拠は知らない方が多いようです。マインドフルネスが与える影響を、学術的視点からご紹介します。

マインドフルネスと仕事の関連性

マインドフルネスとは、「心をとどめておくこと」や「心にとどめておくための注意力」のことをいいます。パーリ語のサティ(Sati)を英訳したものです。東洋由来のメディテーション(瞑想)と本質的な考え方は似ているといわれています。

マインドフルネスはマサチューセッツ大学医学大学院教授のジョン・ガバット・ジン教授が臨床的技法として体系化しました。

マインドフルネスは、Apple社のスティーブ・ジョブスをはじめとした多くの経営者が取り組み、Googleやインテルでは企業全体で取り組んでいます。インテルでは、1,500名の社員が9週間のマインドフルネスプログラムに取り組んだところ、多くの社員がストレス軽減などの効果を実感したのです。
マインドフルネスの実践方法は、呼吸法をはじめ職場でも取り組める方法が多く、特にビジネスパーソンへ推薦されています。一方、日本の25歳〜60歳の男女を対象としたマインドフルネスの実践者数の調査では、マインドフルネスの経験者数は全体の3.3%となり、興味がある割合も26.9%と少ないことがわかりました。

なぜマインドフルネスは仕事に良い効果を与えるのか

「マインドフルネスが仕事に良い効果を与える」ということは数多く紹介されていますが、ビジネスパーソンにとってマインドフルネスが効果的だと言われるのでしょうか?

ジョン教授によれば、マインドフルネスを「今ここでの経験に、評価や判断を加えることなく能動的な注意を向けること」と定義しています。さらに、杉浦知子氏による調査研究では、否定的な思考から距離をおく治療技法としてマインドフルネスに効果があることが実証されました。

つまり、マインドフルネスは、仕事によって生み出される否定的な思考や価値判断から“距離をおく”ことを実現するということです。その結果、注意力を自ら制御することができるようになります。この効果が、ストレス軽減や集中力の向上につながり、長期に渡って自己実現を可能にするのです。

マインドフルネスは、日常に取り入れることで脳を変化させることも実験で明らかになっています。感情の制御力に関わる前帯状皮質(ACC)と呼ばれる部位が活発化し、戦略的思考や集中力が上がるのです。したがって、マインドフルネスによる効果は、短時間ではなく「継続的」に仕事の効率を高めてくれると考えられます。

根拠を意識してマインドフルネスを始めよう

マインドフルネスの導入に戸惑っている方は、簡易なマインドフルネスや講師に習うところからスタートしてみましょう。

ミシガン州立大学の研究チームが行った調査では、単にマインドフルネスを強制しても、いわゆる瞑想状態を被験者自身が作り上げることは難しいことが明らかになりました。つまり、主体的に取り組まなければ、集中力を高める状態に自らが入り込むのは難しいということです。

マインドフルネスは、研修やトレーニングなどのコースもたくさんあるので、信頼できる講師の力を借りるのもひとつの手段でしょう。マインドフルネスにはいくつかの種類がありますが、もっともシンプルかつ生活に導入しやすいものに、呼吸法があります。

方法はとてもシンプルです。仰向けに寝るか座った状態で、自身が呼吸をしている状態に15分間集中します。この際、呼吸以外のものに集中したら、そのことを確認してから、再び呼吸に集中を戻します。呼吸の長さや深さについて考える必要はありません。

先にご紹介した研究結果によるマインドフルネスの本質的な効果、「価値判断から“距離をおく”こと」を考えれば、この15分間、あなたは無数にあるタスクや判断しなければならない事項から解放されることになります。その15分間が、15分後のあなたの実行力や集中力、思考力を高めることにつながるのです。

マインドフルネスも小さな習慣として捉えれば自己実現にも有効

単に「マインドフルネスをやらなければ」とタスクとして消化するのではなく、マインドフルネスに取り組むことによってあなたがどう変わるかを意識すると、その効果を感じることができるでしょう。15分間の習慣が人生の生産性を高めるのならば、取り組んでみる価値はあるといえるのではないでしょうか。

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