日本人の「ビール離れ」は本当か?逆に伸びているのは?


日本人のビール離れが進んでいる——。そう言われて久しいですが、それは果たして本当なのでしょうか。結論から言えば事実で、たしかにビールの消費量は年々減少傾向にあり、その一方で「ノンアルコール飲料」が伸びています。今回は、飲料市場の最前線に迫っていきます。

大手4社のビール系販売実績、15年連続で前年割れ

ビール系飲料市場は年々減少が続いており「とりあえずビール!」といった日本の文化も、若者の間では消えつつあります。

2019年の販売実績は、大手4社のうちキリンとサントリーが前年よりも好調となったものの、大手4社合計のビール系飲料の販売実績は前年割れとなり、15年連続で前年を割り込みました。このことから、日本人のビール離れが進んでいることがデータからも分かります。

では、アルコール市場自体はどうでしょうか。実はアルコール市場も1996年ごろをピークに縮小しつつあります。ビールの消費量が落ち込んだことが主な要因ですが、清酒の消費量も減少しています。リキュール類などは伸びていますが、市場の縮小にストップをかけるまでには至っていません。

ただ、こうしたビール市場を尻目に市場規模を伸ばしているのが「ノンアルコール飲料市場」です。

サントリーの実態・意識調査から分かること

サントリーが実施している「ノンアルコール飲料に関する消費者飲用実態・意識調査」の2019年版によれば、2019年のノンアルコール飲料市場は10年前と比較して市場規模が4倍以上になることが推定されています。

ノンアルコール飲料を飲んだ経験がある人は半数以上に上り、そのうち美味しさについて「期待通り」「期待以上」と答えた人は7割以上となっています。ノンアルコールビールは、かつては味に対する疑問の声も少なくありませんでしたが、そうした時代はとうに終わりを迎えたといえるでしょう。調査では「ノンアルコール飲料は最近おいしくなったと思うか」という質問に対し、6割以上が「おいしくなった」と回答しています。

しかし、ノンアルコール飲料市場の拡大の要因は味が美味しくなったことだけではありません。味とは別に、日本人の趣向の変化も影響していることが考えられています。

日本人の嗜好が変化?感性価値よりも合理性重視?

ノンアルコール飲料を月1回以上飲む人の25.2%が、ノンアルコール飲料を飲む理由として「明日の予定に響くから」と回答しています。つまり、飲酒による弊害を気にしてノンアルコール飲料を選んでいるといえます。

また24.4%が「加齢により健康が気になるため」、17.2%が「体の脂肪が気になるから」と回答しており、健康への配慮が多いことも分かります。こうした結果から、アルコール飲料に関しては日本人が「感性価値」より「機能価値」を重視しつつあるという傾向が浮かび上がります。

感性価値とは、簡単に言えば「五感に訴えかける価値」、機能価値とは「スペックとしての価値や合理性」のことを指します。

ビールは、友人や知人と飲む場を一緒にすることによる「感動」などがマーケティングやブランディングで強調されますが、最近では健康や生活の面では合理的ともいえるノンアルコール飲料を選ぶ人が増えているというわけです。

飲料各社に求められる柔軟な戦略

日本人の趣向が変わりつつある中、ビール離れが進んでいることは数字にはっきりと表れています。飲料市場の動向をみながら飲料各社にはトレンドの変化に対応するための柔軟な戦略が求められるでしょう。

今後は、テレビCMやネット広告でノンアルコール類を売り出す内容のものがより増えていくかもしれませんね。

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