夢を叶えるための値段は?“ワンランク上”の教育にかかる資金はいくら?


キャリアもプライベートも、自分らしくアクティブに。将来をもっと豊かにしたいビジネスパーソンなら、夢実現のためのコストも知っておきたいもの。そこで、ライフスタイルのレベルアップに直結する気になるトピックについて、専門家が“いま”の必要経費や確認事項を実額で解説。あなたの将来設計に、ぜひお役立てください

私たちは、家族から物事を教わったり学校教育を受けたりするなど「外的要因」によって人格が形成されていきます。外的要因は自身の考え方や進路に少なくない影響を与えます。職業や学歴が人生の全てではないものの、一定の相関関係があるようです。

子どもの将来を考えると、進路や学歴は慎重にならざるを得ません。そう考えると、子どもにどのような教育を受けさせるかは親にとって重要な項目の1つといえるでしょう。今回は子どもの将来を考えている親に向けてワンランク上の教育にはどのぐらい資金がかかるのかについて解説します。

教育は将来のための投資である

内閣府経済社会総合研究所の調査「大学院卒の賃金プレミアム -マイクロデータによる年齢―賃金プロファイルの分析」(http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis310/e_dis310.pdf)によると、男性の場合、学部卒の生涯賃金収入は 2 億9,163万円なのに対し、大学院卒は3億4,009万円でその差は4,846万円です。一方、女性の場合だと、学部卒の生涯賃金収入は2億6,685万円、大学院卒は3億1,019 万円となり、その差は4,334 万円となっています。

男性標準労働者の賃金プロファイル(正規労働者)

女性標準労働者の賃金プロファイル(正規労働者)

また、2017年に東北大学で行われた調査によると高校卒と大学・大学院卒で生涯年収に約8,137万円もの違いが出るという結果もあります。

ただし、必ずしも高卒だから稼げないというわけではありません。例えば、吉野家の代表取締役社長である河村泰貴氏は、高校を卒業して吉野家に入り、傘下の「はなまる」を経て社長まで上り詰めました。また、CoCo壱番屋の創業者である宗次徳二氏も高卒ながら一代で財を成した経営者として有名です。さらに、ブックオフコーポレーションの元社長である橋本真由美氏は短大卒ですが、パートタイマーから携わり、後に社長に抜擢されました。このように、高卒や短大卒でも成功者はたくさんいます。

一方で、統計上は学歴によって賃金に差が生じていることは厳然たる事実です。このような賃金格差を踏まえると、子どもに教育を受けさせることは「投資」ともいえます。なぜなら適切な投資を行うことによって将来的に得られる収益が変わる可能性があるからです。だからこそ、より良い教育環境を与えることが必要になります。

ワンランク上の教育にかかる費用とは

中央教育審議会大学分科会 大学院部会(第81回)「資料5 大学院教育の現状を示す具体的なデータ」(https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2017/07/24/1386653_05.pdf)の資料によると、大学院を置く大学数は、国立や公立に比べて“私立”が圧倒的に多くなっているのがわかります。また、研究科数についても同様の傾向があります。

そのため、より高い学歴を実現するためには、義務教育や公立校での教育ではなく私立学校などでの教育を視野に入れておくことが肝要です。それは、教育レベルの高さが基礎学力や偏差値アップにつながり、将来的な受験の合否にも関係すると考えられるためです。では、そのような成果を出すためにどれくらいの費用がかかるのでしょうか。

基礎教育と高等教育の中身

そもそも基礎教育は、就学前教育としての「幼稚園・保育園」、義務教育としての「小学校(6年)」「中学校(3年)」です。その後、高等教育として「高等学校(3年)」や「高等専門学校(5年)」を経て「専門学校(約2年)」「短期大学(2年~)」「大学(4年)」「大学院(修士2年・博士2年)」などと進んでいきます。それぞれの段階で公立と私立によって費用が異なるのが特徴です。

高等教育にかかる費用の概算

発生する費用を比較しやすくするために、まずは「幼稚園」「小学校」「中学校」「高等学校」に絞って公立と私立の学習費総額を比べてみましょう。文部科学省が行っている「子供の学習費調査(平成28年度)」の調査結果(https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/22/1399308_3.pdf)によると2016年度の公私比率は幼稚園で私立が公立の2.1倍、小学校では4.7倍、中学校では2.8倍、高等学校(全日制)では2.3倍でした。

学校種別学習費総額の推移

そのうえで「すべて公立」の場合と「すべて私立」の場合を比較すると前者が約540万円であるのに対し後者は約1,770万円となる計算です。この時点ですでに1,000万円以上の費用の違いがある計算です。

幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の学習費総額

さらに大学の費用も加えてみましょう。文部科学省の調査によると2017年度の入学金と授業料を合わせた「初年度納付金」は、最も安い国立大学で約81万7,800円、最も高い私大医歯系で約477万円です。これらに加えて「在学中にかかる費用(授業料+施設設備費納付額)」が国立大学(4年間)で約214万円、私大医歯系(6年間)で約2,232万円かかります。

いずれも概算となりますが、これらを踏まえたトータルの教育費用は次の通りです。

・幼稚園~大学まですべて国公立:約782万円
・幼稚園~大学まですべて私立(医歯系の場合):約4,107万円

見落としがちな「自宅外通学にかかる費用」とは

見落としがちな費用が「自宅外通学にかかる費用」です。特に地方在住で、子どもが都市部の高校や大学に通う場合は「仕送り額」も想定しておく必要があります。日本政策金融公庫が2018年9月に行った調査によると自宅外通学者への仕送り額は年間平均90万8,000円(月額約7万5,600円)です。

さらに自宅外通学をはじめるための費用(アパートの敷礼金や家財道具の購入費など)は一人あたり平均37万4,000円。これらを勘案すると自宅外通学にかかる費用は4年間で計約400万円となります。幼稚園~大学まですべて国公立に通わせた場合でも必要な支出は782万円+400万円=約1,182万円となり、すべて私立(大学は医歯系)であれば4,107万円+400万円=約4,507万円かかることが分かります。

教育資金は計画的に用意しよう

このように子どもにワンランク上の教育を受けさせる場合には、相応の支出を覚悟しておかなければなりません。どのような教育を受けさせるかは、子どもの将来という夢への投資です。夢にどの程度投資するかにより、教育費は異なるものの、数千万円規模が必要になることを想定し、早い段階から準備しておくようにしましょう。住宅ローンや老後資金と同様、計画性が求められます。

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