キャッシュレスが進めばどのような未来が訪れるのか?


経済産業省が2017年5月に発行した「FinTechビジョンについて」によると、2015年の日本のキャッシュレス決済比率は18%となっています。中国(55%)、韓国(54%)と比較すると3分の1以下であり、まさに日本は「現金大国」と言えるでしょう。

キャッシュレスが進む海外、日本は取り残されている?

中国では、クレジット決済が普及していないことから、モバイル決済サービス「WeChat Pay」「Alipay」が盛んに利用されています。WeChat Payは、大手IT企業テンセントが運営するメッセージアプリ「WeChat」の拡張サービスであり、Alipayは、巨大ECモールAlibaba.com(BtoB)、淘宝網(CtoC)、天猫(BtoC)を展開するアリババグループが提供しています。両サービスとも巨大な顧客基盤を武器に、もはや社会基盤となるまでに成長しました。

韓国でも、2020年までに「コインレス社会」を実現するため、2017年4月から一部のコンビニエンスストアにおいて、つり銭を交通系ICカードにチャージする取り組みを開始しました。今後は、銀行口座など入金先の拡充も検討されています。

「現金志向」が強いとされる日本では、大都市においてさえ、現金以外利用できない小売店舗も存在します。2017年に観光庁が行った「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」で、旅行中困ったこととして、「クレジットカード/デビッドカードの利用」の回答が上位になっています。

そこで日本政府は、「日本再興戦略」2016において、2020年までに外国人が訪れる主要な商業施設、宿泊施設及び観光スポットにおいて100%のクレジットカード決済と決済端末のIC対応を達成することをKPIにかかげています。

キャッシュレス決済が進まない理由のひとつとして、加盟店が負担する決済端末の導入や、決済手数料のコストの高さがあげられます。例えば中国のWeChat Pay、Alipayは、決済サービス単独の収益は追求せず、サービス全体の価値向上に重きを置くスタンスです。そのため、手数料も0.6%と日本では考えられないほど安く、これが爆発的な普及の要因になっています


キャッシュレス決済の経済効果とは?

キャッシュレス決済の効果は、決済オペレーションの生産性向上やインバンド需要の増大だけではありません。現金を使わなくなることで、貨幣の製造、現金輸送、ATMの製造・保守に関わる高額な費用が大幅に削減できます。
すべての取引がデータ化されるのも大きな魅力です。ビッグデータとしての価値も高まり、そこから生まれるビジネスも広がりをみせるでしょう。家計簿アプリや確定申告、決算処理の作業も簡素化できます。
海外では、決済によりビッグデータを形成し、そのデータを収益化することで決済手数料を下げるビジネスモデルが登場しています。日本はまだ決済手数料で収益をあげるビジネスモデルに依存しているため、新しいビジネスモデルが生まれ、経済が活性化する期待も大きくなります。

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