「マクアケ(Makuake)」中山亮太郎さん Vol.1 世界の中の日本を知ったことがMakuakeの出発点


資金力や人脈の限界に捉われず、斬新なアイディアを世に知らしめる可能性を秘めたクラウドファンディング。日本ではここ数年で急速に市場が拡大しています。その中でも存在意義の高いプロダクトのチャレンジを支援し、次々と達成に導き成長しているのが株式会社マクアケ。設立以来、そのトップとして陣頭指揮にあたる代表取締役社長の中山亮太郎さんに、ご自身のターニングポイントとMakuakeに込める想い、市場やビジネスの展望についてお話を聞きました。

中山亮太郎
慶應義塾大学卒業。2006年サイバーエージェントに入社。社長アシスタント、メディア事業の立ち上げを経て、2010年ベトナムにベンチャーキャピタリストとして赴任。現地のネット系スタートアップ企業への投資を担当。2013年に株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング(現 株式会社マクアケ)を設立し、代表取締役社長に就任。著書に「クラウドファンディング革命」(PHP研究所)。

 

独創的なチャレンジが並ぶMakuake。そのラインナップのメカニズムとは

―中山様は日本一のクラウドファンディングプラットフォームMakuakeを運営されていますが、サービスの特徴をご教示いただけますか。

アイディアで勝負できるプラットフォームであるところですね。ともすればお蔵入りになってしまっていたようなアイディアがどんどん羽ばたいていっています。情熱がある、アイディアもある、それを作る能力もある、でもそれをスタートさせる方法がわからない。そうやって埋もれてしまっていたものがこれまで日本の津々浦々にたくさんあったと思いますが、それを掘り起こせている実感はあります。

インターネットのサービスが充実し、コミュニティを持っていたり知名度が高かったりフォロワーが多かったり、そういうところからビジネスを広げる手段が増えてきていますが、そうしたインターネットサービスの中でも、とりわけユニークな存在になれているんじゃないかと思いますね。「こういうものがほしかった!」「こういうことをやってほしかった!」というプロダクトに出会うことは、一般のインターネットユーザーにとっても楽しいことではないでしょうか。

―他の購入型クラウドファンディングと比べても非常に独創的なチャレンジが並んでいますね。

とてもおもしろいアイディアを持った人達は日本中にたくさんいるけれど、コミュニティやフォロワーをしっかり獲得している人は、まだまだ限られています。そういうコミュニティやフォロワーを持たない人たちのアイディアも眠らせないよう、しっかりと押し出していけるサービスを展開することが僕らの存在意義だと思います。

ものづくりはものすごく得意だけれどインターネットはあまり得意じゃないという人もたくさいて、そういう人たちは本当に作りたいものや本当にマーケットフィットするものをなかなか作れずにいた。そんなジレンマを持った人たちに対して、「これだったらヒットするんじゃないか」というアイディアをしっかり提示し具現化していくのがMakuakeであり、それがちゃんと多くの人に届く仕組みも構築されています。Makuakeのプロジェクトがおもしろいラインナップになっているのは、そういうメカニズムがあるからなんです。

最も重視しているのは、「Makuakeによってどれだけ事業が加速できるか」

Makuakeは「購入型」と呼ばれるクラウドファンディングサービスですが、市場規模では「貸付型」のクラウドファンディングが大半を占めていると言います。違いはどういったところにあるのでしょうか。

購入型のクラウドファンディングは、支援者が「その商品が生まれてほしい」「実現してほしい」「手にしたい」という「want」でお金を出していく流れです。これはテストマーケティングにもなりますし、「want」の想いがSNSで拡散しプロモーション効果も生むなど、単純に資金調達だけに効果がとどまらないケースが少なくありません。

一方、貸付型は投資の色合いが強く、支援する側にとっては「儲かるかどうか」がとても重要になってきます。同じクラウドファンディングという括りの中でよく比べられますが、僕らから見れば真逆と言ってもいいほど違うものだと思っています。

Makuakeでプロジェクトを達成したハイブリットバイク「glafit」は購入型クラウドファンディングの資金調達額として当時国内最高記録を樹立したそうですね。

はい。よく実行者の方とも話をするんですが、Makuakeを使った場合と使わなかった場合の成長スピードはまさに桁違いだったろうと思っています。僕自身、Makuakeによってその事業がどれだけ加速できるかということをとても重要視しているんです。

Makuakeがあるからブーストしていけるという効果をどれだけ生めるか。それを意識しながらサービス設計をしています。「glafit」はまさにそれが見られた事例であり、プラットフォーム冥利につきる出来事でした。Makuakeがきっかけで全国のオートバックスでの販売も決定したそうで、そういうニュースを聞くことが何よりうれしいですね。

起業を意識した父の一言「生まれて来たからには価値を残して死ななければならない」

―そのような素晴らしいプラットフォームを作られている中山様ご自身のチャレンジをお伺いしたいと思います。中山様はお父様も起業家でいらしたそうですね。お父様のお仕事を感じる時間はありましたか?

いえ、学生時代にたまに父の会社に届け物をしたりとかはありましたけど、仕事の話を聞かされることはまったくなかったんです。ところが、大学生の時、家族で焼肉を食べに行っているときに、父が急に真面目な顔をしてこう言い出したんです。

「人間、生まれてきたからには何か価値を残して死ななければならない」と。

家族でもいいし、事業でもいいし、作品でもいい、何かを残せる人間になれと。そんな話をすることがなかった父がいきなりそういうことを言い出したもので、強烈に胸に残りました。それでその時考えました。それなら自分は事業を残したい、事業を残せる人間になろうと決めたのが大学生の時でした。

―大学生の時に起業しようと思われたんですね。お父様の遺伝のようなものがあったのかもしれないですね。

うちは父だけでなく祖父も山口県で林業を興したと聞いています。また、曽祖父も大工だったそうで、もともと企業勤めをあまりしない家系みたいですね。そういう生き方が、なんとなく自分にも染みついていたのかなと思います。でも、父は心配していたと思いますよ。企業を経営するということは簡単なことではないということを父は身をもって経験していたでしょうから。

>>Vol.2では中山さんのターニングポイント、そしてマクアケ創業への思いに迫ります。中山さんはなぜ、チャレンジを支援するプラットフォームを作ろうとお考えになったのでしょうか。

(聞き手:髙橋晃浩 撮影:髙橋明宏)

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