実は進んでいる食のイノベーション 安心で効率的な食卓に


農作物の生産ではどの時期に種をまきどのように育てるかは生産者の経験に頼るところが大きく、気候の影響によって出荷量が変わり、それによって販売価格が変わるということがしばしばあります。

また、食品工場での生産作業にしても人の手によって行われる部分が大きく、熟練者の技術に頼り、次の技術者を育てるには時間もお金もかかるというのが普通でした。

しかし現在、食の分野のイノベーションにより効率的に安定して食品を調達できる時代になりつつあります。食のイノベーションは私たちの食生活にどのような変化をもたらすのか、世界や日本の例を見ながら考えていきましょう。

進みつつある食のイノベーションの現状とは?

まず生産分野の食のイノベーションについて見ていきます。例えば農作物の生産には気候によって生産高が変わり価格も安定しないという課題がありました。しかし最近は生産物をそのまま出荷するのではなく、加工までしてから販売するという生産者も現れています。農作物にさらなる価値を付加させて、供給量も販売価格も安定させるということも食のイノベーションの一つです。

家庭でも食のイノベーションの恩恵を受けています。例えば冷蔵庫に残っている食材からレシピを提案してくれる冷蔵庫も登場しました。今までならば自分の頭で考えて作る料理を決めていましたが、どうしてもムダは出てしまいます。この冷蔵庫の技術を利用することで、今課題となっている「食品ロス」を減らすことにもつながるのではないでしょうか。これも食のイノベーションだといえるでしょう。

進みつつある食のイノベーション。世界や日本国内の例を見てみよう

日本だけでなく、世界中で食のイノベーションは進みつつあります。米国では畑で育てていた野菜、牧場で育てて出荷していた食用肉を、いずれも工場で作るという研究が進みつつあります。太陽光の代わりにLEDライトを利用して野菜を育て、工場で動物の細胞を作ってミートボールを作るのです。

この食のイノベーションは野菜の大量生産を促し、動物の大量飼育とそれにともなう環境負荷を防ぐ効果が期待できます。研究が進んでいる食品の中には、米国食品医薬品局から安全性のお墨付きをもらっているものも既にあり、今後も食に関するイノベーションの研究は進んでいくことでしょう。

日本でも食のイノベーションは注目されています。今まで人手が必要だった農作業をIT化・自動化させ、少ない人数でも作業ができるようにする流れを作りつつあります。またノウハウのデータ化や農業機械のアシスト装置の設置で、経験が浅い人でも質の高い農作物を作れるようになるでしょう。

こうした、日本の食のイノベーションに関する研究は、まだ始まったばかりのものも多く、現時点で結果が出ているとは言い難いところもあります。しかし政府・各地方自治体が研究に力を入れており、助成金などの後押しもある分野です。食のイノベーションは今後も発展が期待できるでしょう。

災害時にも役立つ「食のイノベーション」

日本は自然災害の多い国です。2018年だけでも地震や水害など多くの災害に見舞われました。このような災害時にも食のイノベーションは役に立つと考えられています。

例えば「災害時の食事」です。今までは「乾パンやクラッカー」といったイメージが強かったのではないでしょうか。しかし乾パンだけでは栄養面が心配ですし、精神面でも気分の落ち込みが懸念されます。

このような問題があった災害時の食事ですが、食のイノベーションが進むことで「水や火を使わずに調理できる食事」「日常食べているものに近い食事」が日持ちする缶詰やレトルトパウチで作れるようになりました。まず食事によって日常生活に戻すことが被災者のケアにもなるのではないでしょうか。

食のイノベーションで今後の食生活はどう変わる?

生産方法の見直し、AI活用などこれからも食のイノベーションはますます進んでいくことでしょう。今後、減りつつある労働人口に対応できるように農林水産分野でのAI・ビッグデータの活用、食品ロスを防ぐための仕組み作りなどが発展していくのではないでしょうか。