1億人突破。さらなる拡大を目指すAmazon Prime Videoの今後とは


2017年11月に、AmazonがJ.R.R.トールキンの人気小説『ロード・オブ・ザ・リング』をドラマ版でシリーズ化する権利を取得したと発表しました。Amazon Prime Videoで、映画版の前のストーリーを描くといいます。群雄割拠が続くSVOD(定額制動画配信)市場ですが、同社には果たしてどんな狙いがあるのでしょうか。

2022年には約2,600億円規模に成長するSVOD市場

マーケティングデータを分析してレポートを提供するGEM Partnersのレポートによると、動画配信市場は2022年までに年平均7.2%のペースで成長を続け、2022年には約2,600億円まで拡大すると予測。そのうち、Amazon Prime VideoやHulu、NetflixといったSVODが、約80パーセントのシェアを占めると報告しました。

日本国内でSVODサービスを提供している事業を比較してみると、首位のdTVを筆頭にHulu、U-NEXTが大きなシェアを占めています。2016年までシェア5.9%だったAmazon Prime Videoもシェアを拡大。2017年のシェアは11.5%と4位にランクインしています。

SVODに人が集まるという風潮は、コンテンツを大量消費する時代に合わせたもの。テレビをつけて毎週1話ずつ流れてくる番組を気長に待つよりも、自分が好きなタイミングで番組を選んで視聴するスタイルが時代に合っているからだと言えます。

こうした流れは日本だけに限った話ではありません。米国ではNetflixの配信ドラマやアニメを1話から最終話まで一気に視聴するような文化が広まり、社会現象化しています。

Amazonはなぜ『ロード・オブ・ザ・リング』の版権を取得したのか

NetflixとHBOとの争奪戦の末、約2億5,000万ドルでAmazonが獲得した権利ですが、ドラマの内容は『ロード・オブ・ザ・リング』の前日譚となるようです。

すでに『ロード・オブ・ザ・リング』は、ピーター・ジャクソン監督が手がけた映画を3本公開しています。同監督がその前日譚を描いた映画『ホビット』シリーズも3本が公開されています。今回Amazonが製作するのは、トールキンが生前に書き残したストーリーをベースにしたオリジナル作品で、『ロード・オブ・ザ・リング』の主人公・フロドも登場すると言われています。オリジナルドラマは全部で5シーズンが作られる予定になっており、ドラマのスピンオフシリーズも制作する可能性があるとのこと。

AmazonのCEOであるジェフ・ベゾス氏は、大ヒットしたHBOのドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に対抗するために、このプロジェクトを決定したと言われています。世界観も雰囲気も似ている両作ですが、仮に『ゲーム・オブ・スローンズ』と同等の予算をかけて制作する場合、1シーズン当たり1億~1億5,000万ドルほどの予算が必要になるそうです。

ついにテレビ局も参戦?各社オリジナルコンテンツで差別化を図る

ライバルが数多くひしめくSVOD市場で差別化を図っていくためにも、オリジナル作品の提供はもはや欠かせないものとなってきました。

ライバルたちも手をこまねいて見ているわけではありません。Netflixでは全世界向けのオリジナルアニメ『DEVILMAN crybaby』を配信するなど、あらゆるジャンルに力を入れ始めています。Huluもドラマを中心に、オリジナルの作品の提供を開始しています。

また、旧メディアと言われがちなテレビ局も、TBSとテレビ東京、WOWOWが手を組み、動画配信プラットフォーム『Paravi』のサービスを4月から開始しました。こちらは新旧のドラマを多数配信しているところがセールスポイントです。オリジナル作品として『SICK’S 恕乃抄』もサービス開始と同時に配信を開始しました。

1億人を突破したプライム会員のさらなる拡大を目指すAmazon

こうしたライバルたちとAmazonが大きく異なるのは、Amazon Prime VideoがAmazon Primeの会員であれば誰でも利用できるという点です。インターネット通販の送料が無料になる特典に加え、書籍読み放題の「Kindle Unlimited」(有料)など、豊富なサービスが利用できるところがAmazonの魅力です。

CEOのジェフ・ベゾス氏は、現地時間の4月18日に公開した年次書簡の中で、Amazon Primeの会員数が1億人を突破したと発表しました。Amazonが具体的な数字を発表するのはかなり珍しく、Amazon Primeへの力の入れようが分かります。

今回の『ロード・オブ・ザ・リング』のように、人気コンテンツを充実させ会員数をさらに増やすことが、Amazonが目指す最大のミッションと言えそうです。

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