老後までに2000万円貯める…年齢別積立額でわかること


「老後資金に2000万円」。金融庁の金融審議会・市場ワーキング・グループがまとめた報告書に端に発したこのフレーズは、巷を大いににぎわしました。騒ぎがひと段落した今、改めて考えてみると、その実、私たちは老後のためにいくら貯めるべきなのでしょうか。

年齢別に見た「老後資金2000万円貯める」ための1か月の貯金額は…

実際に65歳までに「老後資金に2000万円」貯めるためには、毎月いくらぐらい貯金しなくてはいけないのか見てみましょう。もし一般的な定期預金(年利0.01%、半年複利)を利用して20歳から貯め始めるとするなら、毎月約3万7000円。30歳からだと月約4万8000円、40歳からで月約6万7000円、50歳からで月約11万1000円、60歳からなら月約33万3000円…ということになります。

さて、自分の年齢と、現在の月々の貯金額と照らし合わせて、上記の額は可能でしょうか。念のために確認しておくと、これはすべて「老後」のための貯金です。住宅、教育…と、ほかにも用意しておかなければいけないお金はいろいろありますよね。

ちなみに金融広報中央委員会の調査によると、貯蓄した人の「年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合」は、各年収とも10~15%が最も多くなります。つまり年収400万円なら月3万3000円~5万円程度、年収600万円なら月5万円~7万5000円程度です。こうした数字からわかることは、「老後資金2000万円」を用意するのは、この超低金利の時代では、とても難しく現実的でないということです。

老後資金は3つの視点で考える 長期、高金利、そして…

では、どうしたら「老後資金」を用意できるのでしょう。

一つには、人生の早期から準備することです。上記のように超低金利のシミュレーションでも、40歳から用意しようと思うと月7万円近く貯蓄する必要があるのに、20歳からなら月4万円弱で済みます。 “コツコツ”貯めることに意義はありますね。

次に考えたいのが、金利です。日本は今、未曽有の超低金利です。一方で2019年に見込まれている世界の成長率は2.6%となっています。仮に同じ2.6%で運用できたとしたら、40歳から用意しても月約5万円。さらに複利の効果が高い長期の運用が可能な20歳からなら、月約2万円の貯蓄で済むという計算になります。しかし、絶対に忘れてはいけないのが、ハイリスクハイリターンの原則です。2019年発表の金融庁の文書「販売会社における比較可能な共通KPIの傾向分析」によると、投資信託の顧客の5割弱は運用損益率がマイナスとなっています。近々必ず使うことになるお金を、投資につぎ込むことはリスクも伴います。老後に備え、投資によるリターンを望むなら、まず「余裕をもって運用できるお金」を用意することです。では、どうしたら「余裕をもって運用できるお金」を作ることができるのでしょうか。

まずは自分が「いくらで生活ができるのか」を把握しよう

まず始めたいのは、自分は1ヵ月、最低いくらで生活ができるのか把握することです。固定費、流動費も、自分が許容できる生活レベルを探り、おおよその額を確認してみましょう。こうしたなかでライフスタイルを見直し、“お金の断捨離”を行い、「余裕をもって運用できるお金」を捻出していくのです。

この作業は、老後資金の目標額にも大きく関わってきます。そもそも金融庁の報告書の「老後資金に2000万円」は、夫65 歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯における毎月の不足額の平均「約5万円」をもとに、あと20~30 年の人生があると仮定して総額を計算したものにすぎません。もし支出額が押さえられれば、不足額が減り、「老後資金に2000万円」のラインも下がってきます。

老後資金のプランニングは、まずはライフスタイルを見直し、自分が「いくらで生活ができるのか」を把握するところから始まるといえます。そして長期・積立・分散投資による資産形成を行ってみましょう。老後に必要な「自分の老後資金目標額」は、意外と簡単に達成できるかもしれません。

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