環境にやさしくて美味しい「エコフード」 投資する価値はある?


従来の食料生産が、気候変動や富栄養化、酸性雨、生物多様性の危機の一因として問題視されている今、環境に配慮した新たな「食」が求められています。

それを受けて、環境問題や懸念されている食料危機対策として、オルタナティブ・ミートや低メタンミートなど、環境にやさしい「エコフード(Ecological Food)」の開発が進んでいます。

「食の革命」と期待されているエコフードについて、また注目されるESG投資としての価値について見てみましょう。

なぜエコフードが注目されているのか?

エコフードとは、環境に配慮して化学肥料や農薬を使わずに栽培・生産され、保存料などの添加物を使用せず、再生可能包装材やエネルギー効率の高い輸送手段を利用して消費者に届けられる食品のことです。

オックスフォード大学の研究者であるジョセフ・プーア博士と農業・環境学者トーマス・ネメセク博士の共同レポートによると、食料生産は世界の温室効果ガス排出量の4分の1を占めており、喫緊の課題となっています。

近年は環境問題だけでなく、人口増加や高齢社会化による食料危機の懸念も高まっています。国連の報告書によると、世界の人口は2030年には86億人、2050年には98億人、2100年には112億人に達すると見込まれており、既存の食料生産システムでは支えきれない深刻な食糧難が懸念されています。

注目のエコフード3選

このような問題の解決策として、「アドバンスド・エコフード」とも呼ばれる、環境を配慮した新しい食品が続々と開発されています。

1.ビル・ゲイツが投資する「オルタナティブ・ミート(代替肉)」

オルタナティブ・ミートは、植物由来のタンパク質・脂肪・ミネラル・炭水化物・水を用いて、従来のベジタリアン用、ヴィーガン用食品にはなかった「本物の肉そっくりの風味」を再現した画期的な食品です。

オルタナティブ・ミート産業をリードするのは、ビル・ゲイツ氏や米大手食品メーカーのタイソンフーズが出資するBeyond Meat、米ハンバーガーチェーンのバーガーキングやスターバックスを含む多くの飲食店と提携しているImpossible Foodsなどです。
他にも、オルタナティブ・シーフード、エッグ、デイリー(乳製品)など、さまざまな代替食品が開発されています。

2.バーガーキングが採用「低メタンミート」

「バイオミート(培養肉)」とも呼ばれる低メタンミートは、動物細胞から肉を培養することで、従来の畜産で排出される温室効果ガスを大幅に削減できると期待されています。

現在、バーガーキングが低メタンミートを使用した「ビーフワッパー」をマイアミやニューヨークなど一部の店舗で試験的に販売しています。低メタンミートには、レモングラス (タイ料理などに用いられるハーブ)を飼料として与えられた牛の肉が使われています。実験の結果、牛の場合は生涯を終える最後の3~4ヵ月間、1日のメタン排出量を平均3分の1削減できることが立証されました。

3.余ったパンから作る「ブレッドビール」

ブレッドビールは、「パンの原料のモルト(麦芽)はビールの原料でもある」ことから生まれました。スーパーなどで売れ残って廃棄されることが多いパンの耳に、水とホップ、イーストを加えて発酵させてビールを作り、食品ロスを減らすことが目的です。

英国初のブレッドビールメーカーであるToast Aleや、職人の手作りパンのみを原料とするこだわり派のCrumbs Brewing、東京・六本木にあるベーカリー店bricolage breadのカンパーニュの耳を再利用する日本のビール醸造所Anglo Japanese Brewingなどが、美味しくて地球にやさしいブレッドビールの世界を開拓しています。

投資対象として成長する可能性は?

サステナビリティ投資やESG投資分野でも、エコフードが注目されています。

市場調査企業Markets and Marketsの調査によると、オルタナティブ・ミート市場は消費者の健康志向や環境配慮意識の向上などを要因に需要が加速しており、2020年には36億ドル、2021年までに42億ドルに成長すると予測されています。

Beyond Meatが 2019年にナスダックに上場した時の時価総額は15億ドル でしたが、2020年8月現在の時価総額は79億ドル と急成長を遂げています。また、Impossible Foods は2020年3月のシリーズF資金調達ラウンドで5億ドルを獲得し、評価額が40億ドルに達しています。

今後、低メタンミートは一大市場に成長することが期待されています。そのためには、従来の畜産よりも環境にやさしいことを立証するデータが十分に揃い、サプライチェーンが確立されることが不可欠でしょう。

現時点のブレッドビール市場は小規模ですが、食品ロス削減に対する意識が高まっていることや、人気のクラフトビール(職人の手作りビール)にカテゴライズされていることもあり、ポジティブな要素を秘めています。

もはや環境問題は、「遠い未来の問題」ではありません。「食」は人間や動物が生きていくために欠かせないものです。だからこそ、長期的な視野で食との付き合い方を見直し、既存の食生活をほんの少し変えることで、地球にやさしい環境作りに貢献できるのではないでしょうか。

Photo by hoto@n&Chinnapong on AdobeStock.com

 
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